より小さく、より高機能、より使いやすく!
こだわりの詰まった「Aterm MR04LN」
――「Aterm MR04LN」について、ハードウェア上の特長を教えてもらえますか?
田中氏 先ほどの話にもありましたけれども、製品の特長は“LTE-Advancedへの対応”と“デュアルSIMの対応”、そして“SIMロックフリー”の3点です。このように機能はアップしているんですけれども、製品サイズは前モデルとくらべて幅が1mm狭くなっています。
坂間氏 デザイン的に角ばっているので一見大きめに見えるのですが、実は従来モデルより小さくなっています。厚さは11mmで、LTE用モバイルルーターとしては最薄ですね。これだけ詰め込んで、サイズを小さくしているのです。
――田中さんは「Aterm MR04LN」の設計を担当されたとのことですが、作業を始める前に決めていた目標はあったのですか?
田中氏 「Aterm MR03LN」と同等サイズに抑えるというのが、一番最初に立てた目標ですね。これ以上大きくなると重量が増えてしまって、スマートフォンなどと一緒に持ち歩くとかなり重くなってしまいますから。サイズと重量は前機種と同等程度、できれば以下に抑えたいと思って、設計を始めました。
――設計される際に田中さんなりの“こだわり”はありますか?
田中氏 単に小さくするだけではなくて、使いやすさも追求するということをいつも考えています。ハードウェア的な部分に加えて、設定を行なうユーザーインターフェースも使いやすさを考えて作ってますね。
あとは、アンテナ特性です。ボディを小さくしていくとどうしてもアンテナの問題にぶつかりますので、事前の電波シミュレーションや試作検証の段階でキッチリ目標を決めて、設計しています。
――アンテナの配置は試行錯誤を重ねていると?
田中氏 実際に製品として完成してから修正というわけにはいきませんから、設計段階で電波やノイズのシミュレーションをしっかりやります。NECプラットフォームズには、その道のプロフェッショナルがいますので、連携を取りながら機器として重要な特性をより高めるべく作り込んでいます。
――アンテナ電波のシミュレーションと聞くと、とても難しそうなイメージがあります。
田中氏 そうですね、そこはノウハウのカタマリなのであまり詳しいことは言えないんですけれど(笑)。
シミュレーションでは、毎回かなりムチャなことを言っています。サイズはなんとかこれ(Aterm MR04LN)に収めなきゃいけないから、このエリア内にアンテナを設けて、特性は確保してくれというような。
――アンテナの受信感度はわずかな差でも変わるんですか?
田中氏 最近は特に筐体が小さくなっているため、どうしてもわずかな違いで干渉が起きてしまうのです。特に「Aterm MR04LN」はLTE-Advanced対応ということもあり、アンテナの位置が微妙に変わるだけでも特性に大きく影響するため、設計には気を使いました。いかに周りの実装と干渉しないようにアンテナを配置しつつ、サイズは同等以下に抑えるかという点が腕の見せどころというわけです。
坂間氏 先ほど触れましたが、「Aterm MR04LN」では、11acの2ストリーム(最大867Mbps)に対応ということで、なかに入っているアンテナ部品の数が増えているんですよ。アンテナ数は「Aterm MR03LN」よりも多い、でもサイズは小さいと。これが一番苦労したところですね。
――「Aterm MR04LN」で角ばったシャープなデザインを採用したのにはどんな意図があるのでしょうか?
田中氏 前モデルから一段とグレードアップしているということで、ハイスペックである点をアピールするデザインを採用しました。スクウェアな形状によって、シャープなエッジ感や、プレミアム感も目指しています。
背面についてもテクスチャー加工を施すことで、高級感を演出しています。この点も前機種と比べてだいぶ雰囲気が変わっていると思います。スマートフォンと並べても、あまり安っぽく見えないようにしています。「Aterm MR04LN」は、カバンに入れておくだけじゃなくて、ぜひ外に出して使っていただきたいですね(笑)。
また細かい部分では、背面カバーを開けやすくなるよう注意して設計しました。このあたりは、「Aterm MR03LN」を使っていただいたユーザーのご意見も取り入れています。