ユーザーの利便性を第一に考えた
“SIMロックフリー”と“デュアルSIM”
――前モデルではファームウェアのアップデートで対応できるサービスが増えました。一方、「Aterm MR04LN」は出荷した状態からSIMロックフリーとなっています。その意図を教えてもらえますか?
坂間氏 2014年12月に総務省が「SIMロック解除に関するガイドライン」を改定し、2015年5月以降、新たに発売される機種がSIMロック解除の対象になったという背景があります。要は端末のSIMロックを解除できるようにキャリアに求めたものなんですけど、これに合わせて我々メーカーとしてもお客様の利便性を考えまして、最初からSIMロックをかけない端末、つまりSIMロックフリーの端末を出した次第です。
――2枚のSIMカードを使うデュアルSIMを採用された意図や、そのメリットはどのようなものでしょう?
坂間氏 MVNOサービスが普及し始めたことで、ひとりのお客様が複数のSIMカードを使うケースが増えているんですね。場合によっては、3枚以上持っている方もいると思います。そうなると、使わずに余ってしまうSIMカードが出てくると思うんですけど、解約せずに「Aterm MR04LN」に挿してみてほしいという意図もあります。とりあえず、2枚ぶんのデータ通信容量が使えますからね。
あと通信容量や通信速度の異なるサービスのSIMカードを使うことで、状況に応じてサービスを使い分けるということも可能になります。たとえば自宅では低速だけど定量制のサービスを使って、外出先では高速な従量制のサービスを使ったり、というパターンです。人によっては、会社用と個人用という使い分けもあるかもしれません。
それと実際には、海外へ出張されたり旅行に行かれる方が、国内用SIMカードと海外用SIMカードを同時に挿すという使い方が多いのではないでしょうか。SIMロックフリーは国内に限定したものではないので、海外でも安心して利用できると思います。
田中氏 前モデルでも国際ローミングに対応していたんですけど、3Gまでだったんですね。「Aterm MR04LN」ではLTEの国際ローミングにも対応したので、そこも注目ポイントではないかと。実は、海外出張される方にお願いして「Aterm MR04LN」を実際に使ってもらったんですけど、海外でもLTEにつながるのは想像以上に快適だったという話をいただいてます。デュアルSIMになったことで、国際ローミングもより使いやすくなっています。
――カードスロットは両方ともマイクロSIMとなっていますが、片方はナノSIMカードというパターンも検討なさったのですか?
坂間氏 SIMカードのスロットがふたつありますので、片方はナノSIMスロットにしようかという議論は確かにありました。しかしお客様の立場からすると、それぞれ違う形状のSIMカードを使うのはわかりにくいだろうという結論になりまして、最終的にふたつともマイクロSIMカードスロットという結論になりました。
ただ、初代の「Aterm MR01LN」では標準SIMカードを使っていまして、マイクロSIMカードになったのは2代目以降なんですよ。ユーザーの皆さんの利用状況に合わせて変えていきますので、もし需要が高まってくれば、ナノSIMカードを採用する機会があるかもしれません。
――MVNO各社のサービスについて、接続テストをされているのでしょうか?
坂間氏 NECプラットフォームズで接続確認を行なったMVNOのサービスについては、7月中旬にAterm製品情報サイト「Aterm Station」で公開する予定です。それと「Aterm MR04LN」は出荷時に13サービスのAPN設定プロファイルを登録していますので、すぐにお使いいただけます。
田中氏 基本的に主要なMVNOサービスには対応しています。前モデルではファームウェアのバージョンアップでマルチキャリアに対応しましたけれども、今回は出荷時からNTTドコモ以外のキャリアにも対応しています。詳しくは、「Aterm Station」でご確認ください。
旧機種でもLTE-Advancedの速さを実感できる!
――なぜLTE-Advancedに対応することになったのでしょうか?
坂間氏 LTE-Advancedが始まったとはいっても、まだ対応端末を持っていない方も大勢いらっしゃるのが現状です。そのような方に、普段使っているスマートフォンと、LTE-Advancedのような最新技術を結びつけるための“アダプター”として「Aterm MR04LN」を利用していただきたいと考えています。
モバイルルーターはさまざまな端末をネットに接続させる製品なので、とにかく最新のスペックが重要と考えています。そうすることで、スマートフォンなど他の機器を買い替えなくても、手頃な価格で「Aterm MR04LN」を購入いただくことで、最新の通信方式を利用できるようになります。我々としては今後も、ネットワーク側の最新技術にいち早く対応するつもりです。
――LTE-Advanced非対応のスマートフォンやタブレットでも、その速さを体感できるということですね?
坂間氏 「Aterm MR04LN」から、11acの2ストリーム(最大867Mbps)のWi-Fi通信に対応していますので、11ac対応端末ならさらなる高速通信を利用できます。スマートフォンやタブレットの買い替えにはコストがかかりますし、また機種を変えればアプリのインストールや設定も必要です。それらのコストや手間を考えると、今まで使っていた部分は変えずに通信速度だけを改善できるという意味で、便利に使っていただけると思っています。