日本のデジタルサイネージは遅れている
NTTの鵜浦博夫社長は「2020年は、新たなビジネスモデルを生み出すきっかけになる」と語りながら「課題となる部分が多い」と指摘する。
「たとえば、デジタルサイネージという観点でみれば、まだまだ日本は遅れている。東京の中心部においても、看板のほとんどがアナログであり、欲しい情報が手に入らない。また、東京オリンピックまでに30を超える言語に対応をしてほしいという要望も出ている。日本の魅力を伝えるためにも、様々な情報を、様々な言語で、正しく伝えることが大切である」とする。
同社によると、商業施設の案内や駅での運行情報、道路での交通案内などを見回すと、街中でのデジタル情報は1割にも満たないとする。
そして、次のようにも語る。
「いかにシンプルで使いやすいものにすることができるかが大きなテーマ。単にデジタル化するだけでなく、ユーザーインターフェースを統一したり、標準化したりする必要がある。スマホで情報を得る場合にも、あるところではスマホをかざすだけで情報を得られるが、別の場所ではこちらの情報をアップロードしなくてはならなかったり、逆にアプリをダウンロードしなければ使えないというものもある。これでは、『おもてなし』にはならない。技術競争に走るのではなく、シンプルで、使いやすいインタフェースを実現し、日本のなかではどこでも同じ使い方ができる、ユニバーサルデザイン社会を目指したい」とする。
この環境を実現する基本部分の開発はパナソニックと協業。APIの公開にも乗り出すという。
また、NTTの鵜浦社長は、今回のパナソニックとの協業に関して「パナソニックは、オリンピックにおける最高レベルのスポンサーであるTOP(The Olympic Partner)企業。NTTグループが、2020年を目指すと考えた時点で、パートナーはパナソニック以外には考えられなかった。今年春に津賀社長と話し、協業を決定した」と語り、「パナソニックとの協業は、2020年につながるだけでなく、地方創生にもつながると考えている。そして、新たなパートナーとの協力関係に広がる可能性がある。NTT自らは、触媒役としてサービスの融合に取り組むことになる。2020年に、日本に集まる様々な人たちに楽しんでもらえる環境をつくりたいと考えているが、これは海外にもつながる取り組みだと考えている。日本の産業の発展に役立ちたい」と語った。
まだ、具体的なソリューションの形にまで完成しているものはないが、新旧の技術を組み合わせて、今後、どんな形でサービスが具現化するのか。両社の協業から生まれる成果に期待したい。
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