マクニカネットワークスと提携、日本語技術サポート付きで「GitHub Enterprise」提供
開発者に人気の「GitHub」日本法人設立、企業向け本格展開
2015年06月08日 06時00分更新
開発者/エンジニア向けサービス「GitHub」を手がける米ギットハブは6月4日、初の海外法人としてギットハブ・ジャパンを設立したことを発表した。マクニカネットワークスと代理店契約を締結し、企業向け製品「GitHub Enterprise」の国内展開を本格化する。
「日本にはすでに大きなGitHubコミュニティとビジネスがある」
GitHub(GitHub.com)は、ソフトウェアのソースコードリポジトリとして、コードの共有/公開やバージョン管理、開発者間のレビュー、コラボレーション機能などを備えたWebサービス。ソフトウェア開発者だけでなく、ITエンジニアやWebデザイナーの共同作業にも利用されており、6月現在、世界で約970万のユーザーを擁する。
また2012年からは、企業が自社内のクローズドな環境(オンプレミス)にGitHubをホスティングできるソフトウェア製品、GitHub Enterpriseも提供している。年間契約のライセンス販売で、企業向けに導入サポートや24時間×365日の技術サポート(英語)なども付随する。
初の海外支社設立先として日本を選んだ理由について、ギットハブの共同創業者/CEOのクリス・ワントラス氏は「日本にはすでに大きなGitHubコミュニティとビジネスがあったためだ」と語った。
ワントラス氏の言葉どおり、GitHub.comへの国別アクセス数を見ると、創業当初から日本は常にトップ10に入っており、特に2014年のアクティビティは前年比60%も伸びてトップ5入りしているという。さらにGitHub Enterpriseのほうも、まだ英語サポートしかなかったにもかかわらず、ヤフージャパンや日立システムズ、サイバーエージェント、グリーといった大手企業が導入している。
今回ギットハブでは、ギットハブ・ジャパン立ち上げとともに、マクニカネットワークスとの国内総代理店契約を締結し、本格的に日本市場でのGitHub Enterpriseの販売拡大に取り組む。具体的には、GitHub Enterpriseを採用する企業がマクニカを通じて日本語による導入サポート、技術サポートを受けられる(営業時間外は従来の英語技術サポートで対応)。さらに、円建てによる決済も可能となる。
「OSSのコミュニティ開発スタイルを企業や自治体にも広めたい」
ギットハブ・ジャパンのジェネラル・マネージャーに就任した堀江大輔氏は、これまで日本法人がなかったにもかかわらず、GitHubは日本のコミュニティから大きな支援を受けて成長してきたことを紹介。「今後はユーザーの好意に甘えるのではなく、ギットハブとして主体的に日本のユーザーを巻き込み、またサポートしていきたい」と挨拶した。
「ギットハブのビジョンは“より多くの人がソフトウェア開発に触れられるようにすること”。そのために、オープンソースの開発スタイルを企業や政府自治体、学生などに紹介していきたい」(堀江氏)
「われわれの未来像は、いずれすべての企業が“ソフトウェアカンパニー”になるというものだ。そして、企業はオープンソースコミュニティの一員として活躍するようになるだろう。ソフトウェア開発は共同作業であり、GitHubのような使い勝手の良い(共同作業のための)ツールは非常に大切なものになる」(ワントラス氏)
また堀江氏は、GitHubがホストできるのはソフトウェア開発のためのソースコードだけではなく、幅広い用途で利用できると説明した。たとえば米国連邦政府やフィラデルフィア市、日本でも和歌山県などで、公共データを公開するオープンデータのプラットフォームとしてGitHubが採用されている。「まずは福岡市など幾つかの自治体を回って、『一緒に何ができるか』を検討していきたい」(同氏)。
また、開発者だけが利用するツールとしてではなく、デザイナーやマーケター、法務部門なども参加し、コメントを付けていくような「開発の場」を実現することで、「皆が楽しく仕事や作業をできる世界を作ることを目指す」と堀江氏は語った。
なお同発表会には、日本のGitHub Enterpriseユーザーを代表して日立システムズ、ヤフージャパンも出席。日立システムズはシステムの受託開発において、ヤフーは自社Webサービスの開発において、それぞれGitHubを活用しており、開発や共同作業の迅速化、コード品質の向上、安定稼働といったメリットが得られていると紹介した。「日本法人開設を機に、運用面での課題などを積極的にフィードバックして、より使いやすいものにしていきたい」(ヤフー)。