日本からの要望で実現した1.0kgのモバイルノート
HPの多くの製品は米国本社を中心に開発されるが、もちろん日本からの要望で開発された製品もある。その代表が、2560×1440ドットの12.5型液晶を搭載しながら、重さ1.0kgの軽さを実現したモバイルノートPC「HP EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition/CT」だ。
この製品、2014年の12月に発表され大きな話題となりながら、なかなか発売されない“幻のノートPC”だったが、この5月についに発売となった。
日本のユーザーは、昔から軽量なモバイルノートを好んでいるという。それも、単に軽いだけでなく、堅牢性やセキュリティーなど、きちんとビジネスに使える品質を備えた製品が求められているという。こうしたニーズに応えるべく、5年以上前から米本社にリクエストをし続け、ついに実現したのがこの「EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition/CT」なのだ。
たしかに、12インチで1kgのノートPCは他社からも出ている。だが本製品は、米軍調達基準(MIL-STD-810G)をクリアする堅牢性を実現し、TPM 1.2/2.0、FIPS140-2対応のフルボリューム暗号化(FVE)とプリブート認証(PBA)、指紋リーダーやFeliCa対応NFCリーダーによる本人認証など充実したセキュリティ機能も持つ。砥石氏が「真にビジネスに使ってもらえるモバイルPCに仕上がっている」と紹介する自信作なのだ。
ピュアタブレットに加え、2in1タイプにも注力
Windows 8の登場により、日本でも充実し始めたのがWindowsタブレットだ。多くのメーカーが8型や10型のピュアタブレットを投入しているが、日本ヒューレット・パッカードが注力するのはキーボードの取り付けが可能な2in1タイプの製品という。その理由は、「(ピュアタブレット製品を出したところ)キーボードとセットで使いたいという要望が、法人でもコンシューマーでも多かった」(室氏)ためだ。
無線クレードルで外部ディスプレーもワイヤレス
2in1の製品の中でも、「Elite x2 1011 G1」は、タッチ対応で11.6型フルHD液晶を搭載するWindows 8.1タブレット。着脱式のキーボードに加え、60GHz帯を使う短距離向け高速無線「WiGig(IEEE 802.11ad)」対応のワイヤレスクレードル「アドバンスド無線ドッキングステーション」が用意されている(WiGig無線でUSBやDP利用! 高拡張性タブレット「Elite x2 1011 G1」)
運搬時の軽さ、タッチ操作時の持ちやすさなどは、タブレットは優れている。だが、プレゼンテーションを行なう際にはプロジェクターに接続したいし、プリンターを接続したい場合もある。とはいえ、ケーブルをつながれたタブレットは可搬性が著しく低下してしまう。
こうしたジレンマを解決するのが、「アドバンスド無線ドッキングステーション」で、Displayport×2、USB 3.0×4、ギガビットEthernet、音声入出力端子を搭載する。「Elite x2 1011 G1」本体にケーブルを接続することなく、外部ディスプレーやUSBデバイスが利用できるのだ。
無線経由のディスプレー出力で気になるのは遅延だが、「タイムラグもなく、ビジネスの場でのプレゼンに積極的に使える」(砥石氏)という。実際に使ってみたところ、マウスカーソルの動きが遅れることもなく、確かに動画の再生もスムーズだった。
法人向け製品ではあるが、リビングのテレビに「アドバンスド無線ドッキングステーション」を接続し、USBストレージにダウンロードした動画を見るなど、「Elite x2 1011 G1」はホームユースにも活躍しそうだ。
(次ページ、「HPは世界シェアナンバーワンのプリンター企業」に続く)