「データ仮想化」という新たなコンセプトで、データ/ストレージ環境の大幅な効率化を実現するアクティフィオ(Actifio)。「『コピーデータ』という課題は世界共通」と語る同社社長のジム・サリバン氏と日本法人の高峰康氏に、具体的な技術背景や導入事例を聞いた。
「データ仮想化」を目的に創業、急速な成長を遂げる
――まずは、アクティフィオという会社の生い立ちと、ビジネスの状況について教えてください。
サリバン氏:アクティフィオは2009年、「データ仮想化(Data Virtualization)」のためのストレージ製品ベンダーを立ち上げることを目的に、米国ボストンで設立された。スタートアップとしてはかなり大規模な、約2億ドルの資金調達を受けている。
創業直後からグローバルな事業展開を目指しており、現在は35カ国でビジネスを展開している。主要顧客層は、エンタープライズ企業とサービスプロバイダーで、現在の導入顧客数は600社以上に及ぶ。
かなり早期から日本市場を重視しており、英国、ドイツ、オーストラリアへの展開と同時期の2010年末、日本法人(アクティフィオ ジャパン)を立ち上げた。現在、米国内とそれ以外の地域の売上は半々というバランスだが、日本は売上全体のおよそ10%を占める市場になっている。
――ビジネスの概況はわかりました。製品ラインアップはどのようになっていますか。
高峰氏:ハードウェアアプライアンスの「Actifio CDS(Copy Data Storage)」、仮想アプライアンスの「Actifio Sky」という2種類の製品がある。
CDSはデータセンターに配置し、SANストレージをバックエンドにつなぐ製品で、ストレージへの依存性は低い(主要ベンダーのストレージに対応)。さらに、Skyをプライベート/パブリッククラウドに配置することで、データセンター(オンプレミス)とクラウド環境間で簡単にデータ移行ができるようになる。
アクティフィオが提唱する「データ仮想化」とは?
――さて、先ほど「データ仮想化」という耳慣れないキーワードが出てきました。どんなコンセプトか、何を目的としているのか、具体的に説明していただけますか。
サリバン氏:これまでのデータセンターでは、アプリケーションの本番データをコピーした多数の「コピーデータ」が作られ、それが非効率性の原因となってきた。このコピーデータを「仮想化」することで、大幅な効率化を実現するのがデータ仮想化のコンセプトだ。
たとえば、30年前からはテープバックアップ用に、15年前からはBCP/DR用に、さらにアプリケーション開発/テスト用、コンプライアンス用、アナリティクス/DWH用と、次々にサイロ化した環境が出来て、それぞれに本番データがコピーされている。
こうして必要以上に本番データがコピーされた結果、ストレージ容量や作業時間を浪費している。加えて、それぞれの環境に対応したハードウェアやソフトウェアの導入コストも無駄になっている。
――データ保護、開発/テスト、アナリティクスと、データの利用目的がだんだんと拡大し、その都度個別に対応してきた結果、現在では無駄の多いかたちになっている、というわけですか。
サリバン氏:そのとおりだ。旧来のストレージベンダーならば、そのほうがより多くのストレージボックスが売れるので好ましいと考えるかもしれないがね。
そこでアクティフィオでは、アプリケーションやOSから「ゴールデンコピー」(単一のマスターイメージ)を取得し、その「仮想的なコピー」を複数の用途向けに提供する技術を開発した。
これにより、ストレージやソフトウェアに対する投資を大幅に抑えることができる。バックアップやレプリケーション、重複除外などの機能を統合しているので、システムそのものもシンプルなものとなり、運用管理も容易になる。
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