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え~ぶい! 第5回

野村ケンジ・鳥居一豊の両氏に聴いた、“楽しめる”注目曲

ハイレゾでアニソン、オレたちならこれを聴く[2014年版] (5/6)

2015年01月08日 13時00分更新

文● 編集部

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それなら、アニソンをどの機器で楽しむか?

── どんな機器で聴くかについてもお願いします。

野村 まず私が推薦したいのは、DAC+パワードスピーカーでシンプルに組む方法です。となると、やはりiFI-Audioの「nano iDSD」にAKAI Professionalの「RPM500」の組み合わせですね。対応できるフォーマットの多彩さ、そして5万円程度の予算で音のいいスピーカーを選ぶとなると必然的にこのあたりに絞られてくると思います。

 逆にもっと予算が確保できるというのであれば、アナログ出力も備えたOPPO Digitalのヘッドフォンアンプ「HA-1」をソース機にして、スピーカーはELACの「BS312」のようにコンパクトだけど本格的なもの。そしてアンプは真空管がいいと思います。10万円前後の単品アンプを選ぶのであれば、トランジスターより圧倒的に真空管のほうがいいですから。メーカーはトライオードあたりかなぁ。KT88管を使ったオーソドックスな線でいいと思います。ただハイブリッドでもいいし、CarotOneのような小型モデルでも十分いい音が出せると思いますね。

鳥居 私は入門用ならオーディオテクニカのヘッドフォン「ATH-MSR7」とオンキヨーの「DAC-HA200」の組み合わせがお奨めです。オーディオテクニカのヘッドフォンは忠実感がある反面、個人的にはまじめ過ぎるなと思っていたのですが、ATH-MSR7は特性の良さに加えて、音の立ち上がりが良くて、ビートの切れがいいはつらつとした音を楽しめます。

 ヘッドフォンは音場表現に難がある一方で、ハイレゾの良さである生音に近い粒立ち感だったり、情報量の豊富さがよく出せます。DAC-HA200は、3万円の予算でDSD再生にも対応し、ワイドレンジでS/N感にも優れ、非常にしっかりとした音が出せる。今までパソコンに直接ヘッドフォンつないで聞いてきたような人から見たら背伸びに感じるかも知れないけど、多少無理してでもこのぐらいを目指すと幸せになれると思います。

 もう少し上位機でということなら、Olasonicの「NANO-UA1a」とB&Wの「CM1 S2」の組み合わせでしょうか。NANO-UA1aは小さいのに大型のスピーカーでも十分対応できる高い駆動力が持ち味です。さらに低音の力感もあって、従来機種が持つ情報量があっても、ギスギスせずきめ細かく滑らかに再生できる特徴を維持しつつ、オーケストラのスケール感や空間の広がりといった面もしっかりと表現できるようになりました。第2世代で上質さと力強さが両立し、より高い完成度を得た印象です。

 CM1 S2はブックシェルフスピーカーですが、初代のCM1からS2となり、格段に進化しました。B&WのCMシリーズはCM1が最初のモデルで、新技術を取り入れながら、段階的により大型のモデルへとバリエーションを広げてきました。この新技術がS2の世代で、全モデルに共通して取り入れられたんですね。つまり進化の伸び率で言えば、CM1が一番となる。

 フラットで色付けがない音と評価されることが多いCM1ですが、その精度、精密感がS2でより高まった印象を持っています。ヘッドフォンは解像度が高いですが、それは耳とユニットの距離が近くてロスが少ないから。逆にスピーカーは、空間表現が優れる一方で、どうしてもロスが出る。そのロスがほとんどなくヘッドフォン並みの情報量のまま耳に届く点がいいところです。この空間表現と情報量の両立が一番の特徴です。唯一の難点だった能率の低さに関しても、NANO-UA1aで十分カバーできるでしょう。コンパクトだけどとてもハイグレードな組み合わせだと思います。

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