中国には「小覇王」という国民的メーカーがある。ファミコン互換機を(勝手に)出し続けてきたメーカーで、2000年代中盤までさまざまなデザインのファミコン互換機を出し続けた。
子供が親に買ってもらうのを狙ってか、キーボード型のファミコン(互換機)もリリースされた。トータルでの生産台数は不明ながら、中国メディアからは、多くの20~30代の中国人が幼少期に遊んでいたことから、日本市場でのファミコン出荷台数以上に出荷されたのでは、という話も出ている。
ここ5年ほどは、小覇王といえどさすがにファミコンを売るのも難しいようで(それでも農村部では未だに売られているのだが)、PSPに外観を似せたポータブルゲーム機や、Androidを搭載しゲームコントローラーのようにボタンを液晶の外側左右に配置したポータブルデバイスをリリースしている。
そして据え置き型では、Wiiに影響を受けた体感型ゲーム機をリリースしている。PSPやWiiは中国都市部のエンタメシーンに影響を与えた記憶に残るゲーム機なのである。
小覇王の製品は、触ったことはあったが、購入してじっくり使い込んだことはなかった。中国のIT史で刻まれるメーカーの製品を買わないわけにはいかない。
そこで、“学習パソコン”をうたう据え置き型の「学習型健身体感遊戯機」、つまり学習できて運動もできる体感ゲーム機の「SB-A16」を購入した。
値段は359元(約7200円)。買って気づいたが、映像信号はNTSCでなくPALなので、日本のテレビでは使えない(わざわざ買おうとする人はいないだろうが念のため)。
約7000円で買える体感型学習パソコン?
本体は“パソコン”というだけあり、Wiiというよりはミニタワーケースのような形状で、背面にはキーボードコネクター、マウスコネクター、D-sub9ピンコネクター、AVコネクター、マイクコネクター、SDメモリーカードスロットがある。
カードスロットには4GBのSDメモリーカードが入っている。ここにあらゆるデータが詰まっているのか、これを挿さないと起動しない。
電源を入れると、無音でメニュー画面が表示される。ゲームを作るなら、なんでもいいから音楽は作って流せとはいうもので、メニュー画面が無音だと実に寂しい。
Wiiリモコンのようなコントローラーが付属するが、テレビに向かってコントローラーを動かすのではなく、コントローラーの十字ボタンと、START(決定)、SELECT(キャンセル)ボタンで操作する。
テキスト入力練習はできるが
学習コンテンツはほぼテキストを黙読する感じ
さて、学習パソコンというのだが、何ができるのかチェックしてみた。メインメニューでは「課堂(レッスン)」「辞典」「百科」「娯楽」「運動」「系統(システム)」にわかれている。
課堂では、英語、中国語、数学、政治、歴史、科学など学生向けのコンテンツが用意されている。いろいろ開けてみたが、インタラクティブなコンテンツではなく、ただテキストが無音で開くコンテンツと、各教科の3択問題があるだけだ。
よく言えば、テレビで読む電子ブック形式の学習参考書集だろうか。「娯楽」の中に「笑い話」というコンテンツがあり、それを起動してもやはり画像なしの笑い話のテキストを無音で読まされる。
もうちょっとお金を出せば、やる気の出るインタラクティブなコンテンツや有名教師の動画レッスンが見られる学生向けAndroid搭載タブレットが買えるので、当製品は少々味気ない。
パソコンの勉強のコンテンツもあり、やはり電子ブックで「パソコンとは何か、CPUとは何か」を紹介するテキストファイルが準備されているほか、入力練習のコンテンツや、ワードを名乗るテキストエディターが用意されている。
キーボードが本体に付属しているが、ひとつは入力練習で活用するのだ。またキーボードは辞典コンテンツでも入力に使う。
(次ページに続く、「体感ゲーム機能も満載だが中途半端な印象……」)

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