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突然訪れた10年目の社長交代とまさかの爆笑会見!

ハイブリッドなヴイエムウェア新社長、大いに語る

2015年03月04日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月3日、ヴイエムウェアは2015年度の事業戦略説明会を開催し、新社長の就任を発表した。2005年から日本法人を統率してきた三木泰雄氏はジョン T. ロバートソン氏にバトンを渡す。事業説明会では日本語の流暢なカナダ人新社長がハイブリッドクラウドへの意気込みや日本法人の強みを語った。

10年目を迎えた三木氏は会長職へ

 今回の発表で、代表取締役会長に就任する前社長の三木泰雄氏は、新社長のロバートソン氏の就任を発表した後に、2014年の振り返りを披露した。

ヴイエムウェア代表取締役会長の三木泰雄氏

 昨年は、日本でも「vCloud Air」の提供を開始したほか、コンピューター、ネットワーク、ストレージのほか、管理ツールまで幅広いSoftware-Defined DataCnterのコンポーネントを展開。また、AirWatchのモバイル管理ソリューションの追加で、エンドユーザーコンピューティングの事業も拡充されたほか、パートナーエコシステムも充実したものになっている。三木氏は、「パートナーも2000社に増え、ソリューションの幅も拡大してきた」とアピールした。

2014年の振り返り

 三木氏の紹介で登壇した新社長のジョン・ロバートソン氏は、1990年代に文部省のプログラムでカナダから来日し、いくつかのIT系ベンダーを経た後、2007年からVMwareの日本法人を立ち上げてきた人物。来日当初、いきなり種子島に3年住むことになり、必死に日本語を学んだというロバートソン氏は、「東京に戻ったら、自分が覚えたのは日本語ではなく、種子島弁だったことがわかった」と語り、会場を沸かせた。

ヴイエムウェア 代表取締役社長 ジョン・ロバートソン氏

 直近3年は日本を離れて、シンガポールでアジア全体を統括し、(日本と異なり)17時に帰る社員たちを見て、違和感すら覚えていたというロバートソン氏。長年、二人三脚で日本法人を切り盛りしてきた三木氏は、「見た目は違うが、心は日本人以上に日本人。後任は彼しかいないと思っていた。シンガポールから早く帰ってきてくれとお願いしていた」と語る。ロバートソン氏も、「当初からそんなプランだった。お兄さんのような三木さんが日本でがんばっている間、弟の私が海外に行って社長の勉強をしてきた感じ」と語り、既定路線だったと説明した。

レガシーと次世代が併存する中、One Cloudにこだわる

 2015年度の事業戦略を語ったロバートソン氏は、キーワードとして「Liquid World」をアピール。新しいタイプの競合や脅威が次々と登場し、ビジネスに激しい変化の波が訪れていると説明した。こうした中、新しいビジネスにおいては、成長を加速させ競争力強化を推進する「イノベーション」、顧客に驚き、社員に必要なツールを提供する「ユーザー満足度」、リスクを管理し、ブランドを保護する「セキュリティ」の3つが重要だという。

イノベーション、ユーザー満足度、セキュリティ

 さらにモバイルとクラウドが隆盛を誇る現在のITの活用においても、データセンターの分断や、デバイスの急増、セキュリティリスクなどさまざまな課題が顕在化。これに対応するためには、アジリティ(迅速性)、柔軟性、セキュリティを満たした新しいITが必要になり、VMwareもこの新しいITでの革新を支援していくと説明した。

 これに対して、VMwareが目指すのは「1つのクラウドで(One Cloud)、あらゆるアプリケーション(Any Appliction)を、あらゆるデバイスから(Any Device)」実現することだ。

 特に、One Cloudにはこだわる。ロバートソン氏は、「今はワークロード全体の12%がパブリッククラウドで動いており、2020年はこの割合が40%程度になる。つまり、既存のアプリケーションと新世代のアプリケーションは併存する」と指摘。そのため、オンプレミスとクラウドを統合的に管理できるハイブリッドクラウドが重要だと説明した。「VMwareはアプリケーションがサイロになっていた状況を解消すべく、18年前に生まれた。でも、サイロの問題はクラウド時代も残っている」(ロバートソン氏)とのことで、サイロを解消するためにハイブリッドクラウドが必要だという。

One Cloudのアーキテクチャ

 このハイブリッドクラウドを実現すべく、サーバーやストレージ、ネットワークの仮想化を推進し、今ではハイブリットクラウドの管理や自動化まで展開。デバイスからクラウドまで統合化されたアーキテクチャとなっている。ロバートソン氏は同社のアーキテクチャを示し、「5年前から使っているプレゼンで、あまり変わっていない。唯一変わったのは5年前はビジョンだったが、今はこれが現実的に提供できている点」と語る。

(次ページ、2つの文化が融合している日本法人の強み)


 

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