最新の冬モデルにおいて「ハイレゾ音源」への対応をうたうスマートフォンが増えている。
そんなハイレゾ対応スマートフォンの音質をチェックしつつ、さらにポータブルヘッドフォンアンプなどを接続してさらなる音質向上を試みよう、というのが本特集。
今回はNTTドコモの「GALAXY Note Edge SC-01G」と「Xperia Z3 SO-01G」について、その音を試聴してみた。
……とその前に、スマホとハイレゾ音源について前提となる話をしておこう。
「Androidでハイレゾ」が難しかったワケ
各種オーディオファイルを再生できることはスマートフォンの必須条件であり、当然と言っていい。
しかし、再生できるのは「CD品質の音」が上限ということが暗黙の了解で、ユーザーの大半は収録曲数を優先し、MP3やAACといった圧縮音源を選び、音にこだわる少数のユーザーだけがWAVやAIFFといった非圧縮のPCM音源を選んできた。
それも過去のこととなりつつある。スマートフォンは急速に処理能力を高め、ストレージ容量も増加した。
“ハコ”に余裕が生じた分、リッチな(高音質な)コンテンツを楽しみたい、そう考えるユーザーが増えるのは当然の成り行きといえる。
実際、iPhoneでは「カメラコネクションキット」という裏ワザを利用し、USB DACにデジタル出力してハイレゾを聴く、というリスニングスタイルが一部好事家の間で定着している。
しかし、iPhoneと同じことはAndroid端末では難しかった。iPhoneのDockおよびLightning端子からは、アプリで再生(デコード)したオーディオ信号がデジタルのまま出力されるが、Androidの場合そのようなハードウェア規格が存在しなかったからだ。
Android 4.1以降のUSBホスト機能を持つ一部の端末は、USB On-The-Go(OTG)ケーブルを使用するとUSB端子からオーディオ信号をデジタル出力できるものの、ベンダー依存のUSBオーディオクラスドライバーが必要なうえ、採用は端末メーカーの判断となるため、実際にサポートされたのは「GALAXY S3」などごく一部の端末に過ぎなかった。
そこで用意された規格が「Android Open Accessory Protocol 2.0」(AOA 2.0)だ。ベンダー依存のUSBオーディオクラスドライバーが必要なくなるため、これでAndroid端末にもUSB DACへデジタル出力する道が開かれた。
ただし、扱えるオーディオフォーマットは44.1kHz/16bitが上限であり、ハイレゾ品質の音源は扱えない。
“スマホでハイレゾ再生”のための選択肢
この問題をクリアする方法は2つある。ひとつは、スマートフォンの本体内に高性能DACを搭載し、外部機器に頼らずハイレゾ再生を行なうこと。特に今年のAndroidスマートフォン冬春モデルではハイレゾ再生に対応した機種が多い。
ステレオミニジャックにそれなりの性能のヘッドホン/イヤホンを差せばハイレゾを楽しめるわけだから、シンプルでわかりやすいアプローチだ。
ノイズ対策や搭載するパーツの物理的な制約など“音づくり”における難しさはあるものの、この方式でハイレゾ対応を実現する端末は今後増えそうだ。
もうひとつは、(Androidプラットフォームとしては仕様の定義がない)独自技術によりUSB出力を実現すること。AOA 2.0に準拠しただけでは44.1kHz/16bitのCD品質止まりだが、独自にUSB Audioをサポートすればその限りではない。
外部USB DACを利用すればオーディオ機器としての可能性は格段に高まるはずで、いろいろな音を楽しむことができる。
(次ページに続く、「JEITAが公表した「ハイレゾ音源」の定義」)
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