計画的に転職してからの独立が増えている
いくちょん 上野さんはいつから資金調達コーディネーターのお仕事を始められたんでしょうか?
上野 4年前ですね。その前は、100%政府が出資ししている「日本政策金融公庫」という政府系金融機関に26年間務めていて、独立開業しました。
カリー 30年間も融資の業界を見てきて、今、中小企業向けの融資額って増えてきてるんでしょうか? それとも減ってる?
上野 中小企業といっても、数百人の結構大きいところから、お一人でやってるところも入るので、一概にいえないですが、肌感覚として当時より金額は少しづつ増えています。ただ、最近見た資料でここ10年を比べると、2007年よりはずっと減っている。
カリー それはリーマンショックの影響?
上野 ええ。中小企業の数が減ったというのもありますが、資金需要も落ちてしまった。融資は苦しいから借りるのではなくて、何かに投資したくて受けるわけですから、それが活発な時のほうが経済も上手く回ってるということになります。その資金需要が2008年のリーマンショックで減り、次の2009年ぐらいまでがボトムになって、そこからだんだん戻していった。特に政策は別として、安倍政権になってからはちょっと増えてきた印象です。
カリー じゃあ、中小企業が元気になってきてるっていうイメージ?
上野 と思いたいところなんですけど、実は規模の大きなところが調子がよくて、中小企業で一般的な社員数が20人以下のところは非常に厳しい。
カリー それはカリーさん的にもひしひしと感じてるところで(涙)。
上野 新規に起業する方は増えてきているんですけどね。日本政策金融公庫には、創業する前にちょっとお金が足りませんという人に融資する制度があるんですが、それが結構増えてきています。ジャンルで圧倒的に多いのは飲食関連で、最近ではネットやIT関連も増えています。
いくちょん どういう人が多いんでしょうか? 脱サラからの起業とか、個人事業主からの法人化とか、学生で会社を作ってしまうとか……。
上野 大半はサラリーマンから独立する人ですね。学生起業もありますが、そういう人が融資を受けるケースはあまりないです。
カリー まず頭にないんですかね。
上野 ないですね。女性起業家も増えてきてます。といってもバリバリの起業家というより、主婦の方がリフレクソロジーサロンやエステをやりたいといった感じです。
カリー おおお。
上野 脱サラのパターンでいえば、最近では長年同じ会社に勤めてというのではなく、独立を目指して転職を繰り返して、やっと起業という方が目立ってきています。
カリー スキル、人脈みたいのを広げつつ、最終的に独立を目指す。
上野 ええ、計画的ですね。
カリー 場所で見ると、都市圏が多かったりするんですか?
上野 もう圧倒的に首都圏です。東京だったら人数が多いので、意外なジャンルでもお客さんが捕まる。逆に地方だと、ネットで商売したいという人が多いです。
編集K 確かにネットショップとかだと、田舎のほうが倉庫代が安いですし有利ですね。
実際の融資はどこに申し込む?
取材でもお話しいただいているが、上野さんはもともと「融資をする側」として働いていた。その勤務先だった「日本政策金融公庫」は中小企業や個人事業主でも申し込める融資制度を複数用意している。創業融資を考えているなら、まずはここが第一候補だろう。
さらに「制度融資」という、都道府県や市区町村が窓口になっているものもある。こちらは「信用保証協会」という公的な機関の保証を受けるための審査が必要になる。たとえば、東京都港区の場合は、「創業支援融資」という制度が用意されている。
(次ページ、「面接担当が小学生と思って事業を説明しよう」に続く)
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