AMDのK6に追いつかれた
Pentium II
Pentium Proの後継となるのが1997年にリリースされたKlamathコアのPentium IIである。前回説明したとおり、インテルは互換メーカー振り落としの一環としてSocket 7の廃止を目論んでいた。
このためにP6コアをコンシューマー向けに投入することを決めた。0.6μmでは306mm2と巨大だったP6コアも0.35μmでは203mm2と常識的なサイズに納まったため、これは不可能ではなかった。またMMXユニットの追加と16bit命令の処理速度の高速化により、Pentiumと比較しても性能面での改善は明確になった。
問題は2次キャッシュで、さすがにPentium Proの等速オフチップ2次キャッシュはコストがかかりすぎるということで、Pentium IIではカートリッジに1/2倍速のSRAMチップをCPUと一緒に搭載する方式に切り替えている。
速度が半分の代わりに容量は512KBになったこともあり、キャッシュによる大きな性能低下は発生せず、そのわりにコストは抑えられたため、これは妥当な方針である。もっとも「抑えられた」といっても、233MHz品で636ドル、300MHz品は相変わらず1981ドルと猛烈な価格だったので、コンシューマー向けの立ち上がりはやや鈍かったと記憶している。
こうした傾向が変わるのは、翌1998年に0.25μmプロセスに移行してからだ。まず1月末に66MHzベースの333MHz品が登場するが、これは722ドルであり、あわせて既存製品の値下げも行なわれた。
そして4月14日には100MHz FSBの350/400MHz版がそれぞれ621/824ドルと、これまでに比べるとずっとお手頃価格でリリースされるとともに、Celeronの266MHzが155ドルでリリースされた。これは、AMDによる急速な追い上げに起因する部分が大きい。
AMDはNexGenのNx686を元にK6を1997年4月に発表する。当初は233MHzどまりだったが、翌1998年には0.25μmに微細化したLittle Footコアに切り替え、300MHzの大台に乗せてくる。さらにK6-2がこの1998年の5月にリリースされ、最大350MHzまで引っ張った。
K6/K6-2は、浮動小数点演算はともかく整数演算はPentium IIと同等であり、5月にリリースされたK6-2 300MHzは281ドルと、価格ははるかに安かった。
マザーボードもSuper 7以外に既存の66MHz FSBのSocket 7でも動作したため、Slot 1のPentium IIよりもずっと安く入手可能で、価格競争力はインテルを大幅に上回っていたから、こうなるとインテルとしては価格を下げて対抗せざるを得ない。
インテルとしてはCeleronでこのギャップを埋めるつもりだったが、なにしろ2次キャッシュを省いたらシャレにならないほど性能が下がったために、非常に不人気であった。ただ100MHz FSBの400MHz駆動にしても問題なく動くということで、自作ユーザーには「相対的に割安」と妙な人気はあったが、K6-2に対抗できるレベルではなかった。
→次のページヘ続く (Slot 1からSocket 370へ移行したPentium III)
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