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個人が企業に打ち勝つ仕組み

2014年05月12日 07時00分更新

伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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 クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた米国生まれの造語。インターネットを通じて多数の人々が特定の個人や団体、企業に対して資金を提供する仕組みで、日本でもここ数年で広がりを見せている。
 日本最大のクラウドファンディングのプラットホーム「キャンプファイヤー」を運営するハイパーインターネッツの代表取締役・石田光平氏はクラウドファンディングを「新しいものを生み出す金銭的支援」と分析する。古くは神社や寺院を金銭的に支援する「寄進」などは、クラウドファンディングの前身というわけだ。

株式会社ハイパーインターネッツ代表取締役石田光平氏。

 石田氏は国内で最初期にクラウドファンディングに目を付けた人物。大学卒業後、ウェブサービスの会社に入社し、農業サービス「農力村」を開発。田んぼの敷地を分割して購入し、そこで取れた米がもらえるサービスだ。石田氏はアートや音楽、マンガ、ゲームといったクリエーティブな分野でも同じことができると考え、欧米の事例をインターネットで調べ米国の「キックスターター」を見つけた。

「当時のキックスターターのウェブサイトには『クリエーティブをファンドする』と書かれていた。めちゃくちゃいいと思ったのと同時に日本にもこの仕組みが欲しいと思いました」

 2011年6月、クリエーターのためのプロジェクトに特化したクラウドファンディングプラットホーム、キャンプファイヤーを設立。インターネットやパソコンの普及によって、個人がコンテンツを作って発表する機会が増えたものの、大きなプロジェクトを仕掛けるには資金が必要になる。キャンプファイヤーの仕組みはクリエーターが作ったコンテンツやガジェットを、投資した人たちにCDや画集、製品といった形で還元する「購入型」だ。
 プロジェクトが公開されてから一定期間内に目標金額に達成すれば資金が得られる。達成しなければ、それまでに集まったお金はすべて支払った人に戻されてゼロになってしまう。キャンプファイヤーのプロジェクトの達成率は58%、これまで掲載したプロジェクトは740件以上で総額3億円以上を集めた。

 最近の事例でも渋谷に図書室を作るというプロジェクトが、募集開始からわずか2日間で目標金額の10倍の100万円以上を集め、5月10日現在で約400万円まで支援が増えている。過去最高額は、昔のカメラのレンズを再開発するプロジェクトで1000万円以上の金額が集まった。

 クラウドファンディングの長所は、プロジェクト開始前にニーズが把握できるので失敗しにくいこと。また金銭的支援の見返りによっては、単に製品を買うだけでは味わえない顧客体験も期待できる。石田氏は今後、クラウドファンディングによって「個人が企業に勝つ」時代が来ると考えている。


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