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業界人の《ことば》から 第88回

予断を許さない富士通の携帯電話事業

2014年05月06日 09時00分更新

文● 大河原克行

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今回のことば

 「携帯電話は月産30万台以下でも収益が取れる体制になった。年間310万台の計画に、タブレットを含めれば十分いける」(富士通の山本正己社長)

2013年度は構造改革の一年

 富士通は、2013年度(2013年4月~2014年3月)の連結業績を発表した。 売上高は前年比8.7%増の4兆7624億円、営業利益は61.5%増の1425億円、経常利益は42.9%増の1406億円、当期純利益は前年度の799億円の赤字から486億円へと黒字転換。好調な回復ぶりを示してみせた。

富士通の山本正己社長

 富士通の山本正己社長は、「2013年度は構造改革の1年であった」とコメント。人事施策の実行などに取り組んだ成果などを強調した。

 なかでも、2013年度実績で350億円を超える赤字を計上し、「2013年度の大きな課題であり、苦戦した」と自ら語る携帯電話事業は下期の構造改革の目玉のひとつであった。栃木県大田原市の富士通モバイルフォンプロダクツの生産機能を、兵庫県加東市の富士通周辺機へ集約。さらに、スマートフォンおよびフィーチャーフォンの品質保証、修理機能も富士通周辺機に集約し、設計から生産、サポートまでの機能を効率化。「月産30万台以下でも収益が確保できる体制を実現した」と、構造改革の成果を示してみせた。

 富士通が、携帯電話の構造改革に乗り出さなくてはならない状況に陥った背景には、Android搭載スマートフォンにおいて発生した品質問題が背景にある。

 「電話がつながらない」といった問題のほか、「バッテリーの消耗が早い」、「発熱がある」といった問題が次々と発生し、これがユーザー離れを招く結果となった。また、NTTドコモが2013年前半に実施したツートップ戦略やiPhone投入などの影響も見逃せないだろう。

 品質問題に関わるコスト負担、不健全化した在庫を削減するといった取り組みを第4四半期まで引っ張ってしまったことが、携帯電話事業赤字の要因だ。富士通にとっては、これらの対策に追われた1年だったといえる。

 結果として、2013年度の携帯電話の出荷実績は370万台。期初計画の520万台からは2度の下方修正を行い、この数値に着地した。2012年度の出荷実績の650万台に比べると、実に「6掛け」に留まる。一気に出荷台数を減らしたわけだ。

 だが、2013年度で悪化した環境は改善したことを山本社長は強調。携帯電話事業は引き続き継続する姿勢をみせる。

 「ヒューマンインターフェースの部分を持っていることが富士通にとっては大切。携帯電話事業はこれからも継続する」と山本社長は語る。

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