まず気軽に音作りを楽しんでほしい
―― じゃあ、まるでつらいことが無いじゃないですか。羨ましいなあ。
内山 う、うーん。あるといえばありますけど。「ここは直したほうがいいな」と思うところがあるとする。それに対してうまく提案ができないと「言うだけだったら誰でもできるでしょ」になっちゃう。もう少し知識や技量が付いてくれば、製品のアレンジについて、強い意思を持って実現して行けるんだろうけど、まだ自分の技量が足りないから、問題に対してアイディアがポンポン出せない。それがストレスになるときはあります。
―― もっとよくしたいところがあるわけですね。期待しましょう。そうして皆さんが開発された製品はすでに世の中に出ているわけですが、音楽のイノベーションは楽器の握る部分が大きいわけで、その影響について考えたりはしますか?
上野 たとえばTaktileだったら、ここ(Trigger Pad)にコードの機能が入っていて、ソフト音源を弾きながらKAOSSILATOR風に鳴らしたりとか。それだけで曲のアイディアが浮かぶんですね。私もそんなに鍵盤でコードを押さえたりはできないんですけど、これがあるだけで、音楽を作りたい気持ちが湧いてくる。
内山 KROSSだったら、とにかく軽いですよ。女の子は楽器が重いと運搬がきつくなっちゃうんで。この子は音色もいっぱい入っているし、まず気軽に音作りを楽しんで欲しかった。ドラムのパターンなんかも、ELECTRIBE的に使うことができるから、純粋なキーボーディストだけじゃなくて、ギタリストとか、ベーシストとかにも使ってもらえる。色んな音の出る気軽に買える楽器として、もっとシンセに触ってくれる人が増えれば。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター、武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。インターネットやデジタル・テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレ。
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