スタートアップ、ベンチャー企業、そこに投資を行なうベンチャーキャピタルなどが集まるイベント「第9回 サムライベンチャーサミット」が4月19日、日本マイクロソフト本社で開催された。創業5年以内のスタートアップ企業100社のブース、LINEの森川 亮社長などが登壇する豪華なセッションが1日を通して行なわれた。主催はベンチャーやスタートアップに支援を行なうサムライインキュベート、前回は1000人、そして今回は約1500名を集め、いまスタートアップ業界に注目が集まっているという現状がうかがえる。
「START-UP NATION~今イスラエルが世界から注目されるわけ~」のセッションでは、写真左からFinTech Global Capitalの本藤孝氏、JIC(ジャパンイノベーションセンター)イスラエル代表の岡田一成氏、サムライインキュベートの榊原健太郎代表取締役が登壇。テクノロジーの世界でどれだけイスラエルという国が重要で、日本がどれくらい遅れてしまっているかが話に上がった。
3者はそれぞれ「●●力」という言葉に例えて、イスラエルという国を紹介した。
本藤氏は「ネットワーク力」を取り上げ、「イスラエルは700万人と人口が少ないので経済やスタートアップの世界が狭い。この人知っているかと聞けば、ひとりを隔てればだいたい会えるくらいのネットワークで構成されており、スタートアップも人材を流通させている」という。
岡田氏は「サバイバル力」。サムスンやファーウェイ、バイドゥなど中韓のグローバル企業はだいたいイスラエルに拠点を持っている。業績の根源はイスラエルといわれているという。サバイバル力は「地勢的にイデオロギーの違う国に挟まれている。軍事など顔をみて誰か認識できる技術、水が少なく4月から11月まで雨が降らないのに緑が広がっていて少ない水を農業に組み込んでいる海水の淡水化技術。すべてイスラエルからきている」。
イスラエルに拠点を移すというサムライインキュベートの榊原氏は「必死に毎日生きる力」、ニュースが戦争ばかりなのでそのイメージは強いがデータから見たら安全な国と説明。ただ、常に戦争の意識は強いので必死に毎日生きている。「メールのレスポンスはチャットレベル。2日返事がなかったら死んでいると思ってくれ。ファンドも何も、この場で決めてくれというイメージ」とスピード感があることを強調していた。
またイスラエルに投資をする理由に対して、「マネージメントのスピード感、プロフェッショナル感が高い。マネージメントチームがしっかりしている。国内のマーケットがないので、どこかに買ってもらわないといけない。適応する能力も高く、圧倒的に技術がある」と本藤氏もスピード感を強調。
日本以外の各国はイスラエルという国に注目しており、WindowsもインテルのCPUも、基幹部分はイスラエルで生まれているという。日本の企業がグローバル化する際に、イスラエル経由という発想をもっと抱くように勧めていた。イスラエルは欧米へのネットワークも強く、スタートアップはイスラエルの企業との協業、そして大企業はイスラエルのスタートアップの買収を検討してもいいだろう。
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第9回 サムライベンチャーサミット