スマホを構成する部品のなかで唯一“機械的に動くモノ”!?
スマートフォンの動きを検出して画面の向きを自動的に変えたり、デジカメの手ブレを補正するなど、身近な機器にも使われている加速度センサーやジャイロセンサー。最近ではマルチコプターに組み込まれ、誰でも簡単に飛ばせるどころか、自律飛行できる機種まで出現し、監視・調査・物流などさまざまな分野で役立ちそうな様子。
普段はセンサー類を意識して機器を使うことはないが、内部ではどんな働きをしているのだろうか。今回はマルチコプターの重要部品、加速度センサーの概要をじっくり見てみよう。
なお、加速度センサーの原理は内部に小さなオモリがバネで固定されていて、加速度によってバネの歪みを圧電素子などで検出して力を割り出しているもの。これに対し角加速度を検出するジャイロセンサーはピエゾ素子で高速振動する部品を使い、加速度によって振動数が変わることを検出しており原理的には異なる。
これらの機械的な要素を持つ部品は「MEMS(Micro Electro Mechanical System)」などと呼ばれる。しかし考えてみれば、いまどきのスマホは操作ボタンですら静電容量検知パネルだったりして、ひょっとしたらスマホを構成する部品のなかで唯一“機械的に動くモノ”なのかもしれない(一応、電源ON/OFFとボリュームはまだ物理スイッチだが)。
加速度センサー自体は安価なもので価格は850円(この手のパーツショップとして定評のある秋月電子通商から購入)。高いように思えるが、これは使いやすいようにピンが付いているもので、基板に直接付けする表面実装用部品ならばもっと安いはず。
購入した加速度センサーモジュール「KXR94-2050」は、約1cm角の基板にピンが8本出ているだけのシロモノ。チップ自体はわずか数mm四方。センサー信号はアナログ出力で、このピンのうち2本に電力(VddとGND端子に3Vもしくは5V)を供給すると、別の3本のピンから出る電圧が動いていない状態から加速度に合わせて上下する。
こういった電子部品がどう動くのか、とりあえず繋いでみて確かめながらの電子工作(プロトタイピング)の定番「arduino」を使ってみよう。
arduinoに関してはいまさら説明するほどはないと思うが、本来は簡単に使える学習用として開発されたオープンソースのマイコンボードで、パソコンで組んだプログラムをUSBケーブル経由でボードに転送できる(電源を切っても消えない)。ボードには数十の入出力端子があって、LEDを点灯させたり可変抵抗やセンサーからの入力を読み出したりできる。
さまざまな電子部品との接続方法が確立しているので、部品を追加すれば有線LANに繋いだり、カラー液晶ディスプレーを装着したり、MIDIを鳴らしたりといろいろできるのだが、ここではあくまで簡単に加速度センサーのリードアウトとして使ってみよう。
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