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テクノロジー虎の穴

多翅型ヘリコプターが飛ぶ仕組みを簡単解説

クアッドコプター撮影のすすめ!

2014年04月09日 11時00分更新

文● 行正和義

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鳥の視点からの映像を得られる空撮。クアッドコプターなら手軽にチャレンジできる!

ジャイロや加速度センサーの進歩で
今、クアッドコプターが熱い!

 ついに所有率が過半数になったスマートフォンは、デバイスの集合体だ。一般的な部材に限っても、複数のデータ通信とタッチパネル+液晶、カメラにGPS、地磁気センサと加速度センサなどが挙げられる。

 無線の高速化やデジカメの高画質化、液晶の高精細化は目立つところだが、位置・方角・移動を感知するGPS/地磁気/加速度センサーの小型化と、それに伴うさまざまな機器への組み込みも目覚しいものがある。

 スマホへの組み込みはもちろん、カーナビくらいだったGPSはコインサイズのロケーターに、ジャイロや加速度センサーはカメラの手ブレ補正に使われているほか、最近ではウェアラブルデバイスに組み込んでユーザーの行動を検出、ヘルスケアに役立てようとする動きも活発。

 しかしここで注目したいのはセンサーが小型化/高精度化したおかげで大きな進歩を遂げたラジコンヘリの類だ。

数年前からコツコツ手を入れてチューンアップした機体。DJI NAZAと呼ばれるコントローラーとHitec AURORA9送受信機を中心にパーツを買い揃えて組んでいる

 とくにここ数年、クアッドコプター、マルチコプターなどと呼ばれる多翅型ヘリコプターが話題になっている。Amazonが宅配に使うとかはまあ話題作りと話半分に聞いてもすごいことだし、ベストセラートイとなったAR.DRONEを例に挙げるまでもなく、ちょっとした大きな玩具店に行けば数千円台で買えるトイラジコンとして棚に並んでいたりする。

 単に飛ばして楽しむもよし、小型デジカメを搭載するなどして空撮するもよしと、遊びにもちょうどいいが、業務として各種の調査、ドラマやバラエティー番組、イベントレポートなどの簡易空撮でも多用されている。

 これらは小型カメラの性能向上で報道品質のHD画像が撮影できるようになったこと、リチウムイオンバッテリーのおかげで電動ヘリの飛行性能がアップしたこと、そして加速度センサーやジャイロセンサーによって安定した飛行が可能になったことが大きい。

 もともと加速度センサーやジャイロセンサーはラジコン飛行機やラジコンヘリには比較的早くから(10年以上前)導入されてきた。なにしろこういった飛行安定装置がない時代のラジコンヘリ操縦は、“指先で棒を立てるほどの繊細なバランス感覚が必要”とまで言われていた。ところが現在の機体ときたら、スロットルを上げるだけで苦もなく上昇するほどの自律安定性を持っている。

DJI NAZAコントローラーはパソコンとUSB接続して各種パラメーターを設定できる。クアッドだけでなく、ヘキサコプターやオクトコプターを制御することも可能

 従来型の(つまりテールローターのある)ヘリコプターでも電動化・ジャイロ搭載は進んできたが、ここ最近話題のマルチコプターがこれほど重用されている理由は、なにしろ飛ばすのが簡単という点にある。

 一応マルチコプターの仕組みについて簡単に説明しておくと、4本(もしくは6~8本)のプロペラはそれぞれモーターに直に装着されており、各プロペラは2組ずつ反対に回転して反作用で機体が回転するのを抑えつつ揚力を生み出すようになっている。

 普通のヘリコプターでは前後左右の機体の傾きはメインローターの羽根のピッチ(角度)を変える機構を持つが、マルチコプターではプロペラピッチは固定なので機械的な部品がない。模型飛行機でもきちんと飛ばすにはバランス調整やラダー/エレベーター(操縦翼面)の角度などを細かく調整する必要がある一方、マルチコプターではそのあたりをすっ飛ばして各モーターの速度制御のみで事足りる。

機体中心部にある赤いボックスがジャイロを一体化して収納するDJI NAZAコントローラー。手前の黒いボックスはラジコンの受信機、上に突っ立っている円形の物体はGPS受信機+地磁気センサー

 この速度を制御しているのがマルチコプターのコントローラーで、内部には飛行プログラムを制御するCPUに加えて、加速度センサーやジャイロセンサーを内蔵、一方はラジコンの操縦信号を受ける受信機に、もう一方は各モーターの制御装置に接続されている。

 内蔵するセンサーが機体の傾きを検出すれば、それに合わせてモーター回転数を微妙に調整して水平を保ち、また操縦信号を受ければ各モーターの回転数を若干変化させて移動するわけだ。

 ここでは(というかラジコンに限らず各所で)ジャイロセンサーと加速度センサーは混同して単に“ジャイロ”などと呼ばれたりするが、ジャイロは角加速度つまり回転運動を検出するもの。一方、加速度センサーは各方向への加速度を検出する装置だ。

 加速度センサーだけでもXYZ軸それぞれにかかる加速度を計算すればジャイロセンサーとして利用できるのだが、ともあれXYZ軸それぞれの移動・回転を検出するものは一般的に6軸ジャイロなどと呼ばれていたりする。

 なお、マルチコプターの飛行制御装置に限らずカーナビなどでも3軸加速度+3軸回転+地磁気センサーで9軸ジャイロと呼ばれることもある。コンパスだから+1軸なようにも思えるが、センサーの水平角に関わらず北が分かることから3軸と呼ばれる。また、3軸加速度+3軸地磁気で6軸センサーと呼ばれる場合もあって正直なところ、そろそろ呼び方は統一して欲しいところ。

DJI NAZAでは安全装置として、送信機からの信号が途絶えたときに離陸位置に戻って自動着陸する機能も設定できる

 呼び名はともあれ、細かな調整が要らないシンプル構造と姿勢センサーのおかげでマルチコプターは安定飛行できるわけだが、さらに地磁気センサーを加えた9軸制御に加え、GPSや気圧高度計なども搭載していたりする。スロットルを微妙にコントロールしなくても一定の高度でぴたっと止まり、降下速度が速すぎればハードランディングする前にふわっと着陸してくれるわけだ。

下部にくっ付けているのは独CamOneTecの「CamOne ∞」という小型アクションカム。サイズ/性能的には1世代前のGoProくらいだが、背面にはカラー液晶ディスプレーを搭載して普通のデジカメのように使うこともできる

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