使い勝手のいい光学式タッチパネルと付属キーボード
「HP Slate 21」のディスプレーは21.5型で、解像度は1920×1080ドット。画素密度は102dpiで特に高精細というわけではないが、ディスプレーからある程度離れて利用することになるため、ドットの荒さを感じる場面はなかった。液晶の表面は光沢のあるグレア仕上げで光の映り込みはそれなりにあるが、視野角の広いIPS液晶を採用しているので角度を調整すれば問題ない。
動画の再生時など、グレア仕上げの21.5型IPS液晶をフルに活かした、美しい映像を堪能できるはずだ。
タッチパネルには光学式センサーが利用されている。タッチ対応PCやスマートデバイスで一般的な静電容量方式に比べてセンサーの耐久性が高く、電気を通さない普通のペンや手袋をした状態でも利用できるのがメリットだ。ただし、液晶パネルとフレームの段差が大きくなってしまうというデメリットもある。
実際にタッチ操作を試してみたところ、指すべりは良好で快適に操作することができた。静電式のスタイラスや電磁誘導式のデジタイザーペンは必要なく、いつものペンで操作したり手書き入力できるのはうれしい。液晶パネルとベゼルの段差についても特に気になることはなかったが、構造的にホコリが溜まりそうなのでこまめに掃除をしておいたほうがいいかもしれない。
付属のキーボードとマウスはUSB接続。作りはいかにも「付属品」といった感じで、正直なところ高級感は感じられない。はじめは「あるだけマシ」程度にしか考えていなかったのだが、実際に使ってみるとこれがトンでもなく便利なのだ。
一見すると標準的なWindows PC向けの日本語配列キーボードと同じだが、よく見るとファンクションキーや特殊キーに別のアイコンが描かれていることがわかるだろう。これはそれぞれのキーに、Android端末向けの機能が割り当てられているのだ。
たとえばESCキーに相当する部分に「戻る」が割り当てられていたり、Windowsキーの場所には「ホーム」が用意されている。ファンクションキーからは画面の明るさを変えたり、コピー&ペースト(カットも用意されているがアプリによっては非対応の場合もある)が可能となっている。なかでも特に便利感じたのは、F4キーの位置にある「設定」と「¥」キーの上にある「スクリーンショットの撮影」だ。今回のレビューにあたって何度も設定画面を開いたりスクリーンショッを撮影したりしているが、ワンキーで瞬時にできるのは非常にありがたい。あとはこれに「通知のクリア」キーが加われば完璧だ。
実際にキーボードとマウスを利用してみたところ、ネットの検索やID/パスワードの入力時がかなり楽になり非常に快適だ。ただし、アプリによっては逆に使いづらくなってしまう場合もある。たとえばオフィスソフトとしてプリインストールされている「KINGSOFT Office for Android」を使ってみたが、キーボードとマウスを使ったPC風の操作に対応していないため、見た目はエクセルっぽいのにエクセル風に操作できなくてストレスが溜まってしまうのだ。
またホイールボタンは画面のスクロールに対応しているものの、右クリックが左クリックと同じ操作になってしまう。メニューを表示する場合はボタンを長押しする必要があるのがやっかいだ。
残念に感じたのは付属品のキーボードとマウスが有線接続である点だ。幸い、Bluetooth接続のキーボードとマウスが使えるため、フルに活用するのであれば市販品を購入してみるのもいいだろう。実際には試せなかったが、キーボードとマウスが無線になれば、筆者はWindowsからAndroidに乗り換えられると思う。
少々感情的になってしまったが、「HP Slate 21」の非常に便利だ。ぜひ一度、その便利さを試していただきたい。
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