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貴重なオリジナルマスターテープも見ることができた

クリプトン、森山良子の24bit/192kHzハイレゾ音源を配信

2014年03月19日 22時53分更新

文● ASCII.jp編集部

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貴重なオリジナルのマスターテープ。CD化する際に何度も扱ったために放置されていなかったことや、元々が良い質のテープを使っていたことなどもあり、保存状態は良好だったという

ハイレゾ音源はCDよりも柔らかく、自然な広がり
今後もシリーズ化して配信していく計画

 発表会では実際にCD音源とハイレゾ音源を試聴する時間が設けられた。CDと比べると、ハイレゾ音源はFM放送のように、柔らかくふわっと広がる音だと感じた。また、再生する際に、ハイレゾ音源は小さくヒスノイズが入っており、アナログマスターテープから直接デジタイズした音源なのだという実感を抱く。

 デビュー曲の「この広い野原いっぱい」を聴くと、やや固い音のCDと比べ、ハイレゾは音の広がりやストリングスの音色などが柔らかく、自然な印象を受けた。何度もリリースされている有名曲の「さとうきび畑」の初録音版で聴き比べると、やはりハイレゾはCDよりも歌声の抜けやギターの音色がしっかりしている。

 アメリカのナッシュビルで録音された「恋人/思い出のグリーングラス」では、CDはピアノやハーモニカの一つ一つが際立って聴こえるが、その分、音に奥行きを感じない。一方、ハイレゾではそれらの音が一体になって、自然に聴こえるだけでなく、ベースやドラムなどの低音も力強く感じた。

 今回配信される作品の原盤を所有・管理しているシンコーミュージック・エンタテイメントの吉田聡志取締役は、ハイレゾ音源の音質に対し「制作から47年経って、初めてスタジオで録ったテープそのものの音を皆さまにお聞かせできることになった」と語った。

シンコーミュージック・エンタテイメント 吉田聡志取締役。1967年当時の『ミュージック・ライフ』などを取り上げ、作品が制作された時代を解説していた。当時の森山良子さんのコピーは「学生フォーク界の女王」とのこと

 森山良子さんの初期作品のプロデュースを担当した本城和治氏も参加し、当時のエピソードを語っていた。大ヒット曲の「さとうきび畑」だが、森山さん本人が「歌いたい」と直接提案してきたものの、作曲者が当時キングレコード専属の寺島尚彦氏だったため、録音を半ば諦めていた。ところが寺島氏に電話したところ、「今月、キングレコードを辞める」と告げられたために、レコーディングできたのだという。

元フィリップス・レコード・プロデューサー、本城和治氏。「オリジナルのマスターテープの音にあらためて感動した。目からウロコといった感じ」とコメントした

 今後もクリプトンは、シンコーミュージック・エンタテイメントの原盤を中心に、アナログマスターテープのデジタルリマスターを配信していく計画とのこと。

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