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「TRANSFORMATION(変革)」から「REDFINE(新定義)」へ

仮想敵はAWS?2014年のEMCジャパンが戦う相手

2014年01月30日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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1月29日、EMCジャパンは2014年の方針説明会を開催した。代表取締役社長の山野修氏は2013年のグローバル、ジャパンの動きを振り返った後、もはや「TRANSFORMATION(変革)」ではなく、市場環境に合わせた「REDFINE(新定義)」が必要だと訴えた。

今までは3年遅れていると言っていればよかった

 モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルの4大トレンドを前提とした第3のプラットフォームへの変換を目指してきたEMCの2013年。山野氏は、第3のプラットフォームを作るPivotal独立やSoftware-Defined Storageプラットフォーム「ViPR」、VNXの新バージョン投入などのグローバルでの動きを振り返った。

EMCジャパン代表取締役社長 山野修氏

 2014年は、第3のプラットフォームのうち「クラウド」と「ビッグデータ」を主軸に据え、それを「トラスト」で支えるという方針は堅持する。第3のプラットフォームに関しては市場がダイナミックに変化しており、米国に遅れがちな日本でもいち早い対応が必要だという。山野氏は、「今まで、外資系企業の社長は『日本は米国に比べて3年遅れている』と言っていればよかった。確かにビッグデータは2~3年の遅れがあるが、最近は(日本でも)クラウドファーストが増えており、モバイルに関しては日本が進んでいる」と期待を示した。

 しかし、レガシープラットフォームから離れられないユーザー層は歴然として存在する。そのため、新プラットフォームへの移行に際しては、従来同社が訴えてきた「TRANSFORMATION(変革)」ではなく、もはや「REDFINE(新定義)」が必要だという。そして、これを実現するための具体策としては、サービスプロバイダーへの支援拡大やVMware/Pivotalとの連携、第3のプラットフォームへの変革の支援、ポートフォリオの拡大などに取り組んでいくと説明した。また、第3のプラットフォームに向けたポートフォリオとしては、オブジェクト/HDFSやSoftware-Definedのストレージ、コンバージドインフラ、ポリシーの自動化、データセキュリティ、オンプレミスとオフプレミスの統合などを挙げた。

2014年のグローバルのフォーカス

価格だけがメリットじゃない!ライバルはAWSと明言

 後半の質疑応答において山野氏は、2014年の方向性としてハードウェアからソフトウェアの大きな方針転換を示唆した。もとより昨今のストレージは運用や管理まで含め、ソフトウェアの比重が高くなっており、同社も2013年はストレージ管理プラットフォームであるViPRを目玉として発表している。この傾向は2014年も続くようで、山野氏は「既存のアプライアンスは、今年かなり仮想化されてくる」と語った。

 一方、同社のビジネスを下支えする主力のストレージに関しては、ディストリビューターのみから提供されるエントリ向けモデルが好調。また、価格圧力の厳しいサービスプロバイダーやデータセンターの市場に関しては、「ハイリスク/ハイリターンなビジネスモデルなので、確かに戦略的なプライシングでやらせてもらっている。しかし、単に安く売って終わりではない」(山野氏)とのことで、顧客のサービス自体をセルアウトする部隊をEMCジャパン自体で組織しているという。

2014年の日本での重点施策

 また、より会社自体の知名度や信頼度を上げていくことも課題だという。EMCジャパンが2014年で20周年を迎えるのを機にさまざまな露出を図ると共に、ロータスF1やボストン交響楽団日本公演のスポンサーなどを手がける。「単にストレージを売ればいいという時代ではない。お客様やパートナー様にはトラステッドなパートナーとして認知してもらいたい」(山野氏)。さらに従来「Velocity」ブランドで展開されていたパートナープログラムを「EMCビジネスパートナープログラム」に統一することも発表された。

 山野氏は2013年は積極的なビジネス展開の元、サーバービジネスを持たないにも関わらず、サーバーとストレージの売上高合計でHPに続く、世界第2位を達成したと説明した。とはいえ、競合はもはやIBMやHP、ネットアップではないようだ。山野氏は、「多くのITベンダーと同様、個人的には競合はAWSだと思っている。AWSは価格が安いだけではない価値を提供している」と牽制。第3のプラットフォームを具現化するWebジャイアンツに対するITベンダーの危機感をにじませた表現ではあるが、AWSのエバンジェリストをプライベートイベントの基調講演に呼び寄せたネットアップとは対称的だ。

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