スマホもハイレゾ化!
高音質携帯プレーヤーに注目が集まる
ハイレゾの普及とワイヤレススピーカーの人気は、高音質派と手軽に使いたい派の異なるニーズではあるが、将来的にはこのふたつは一体化してしまうと思っている。
その架け橋となるのが、ハイレゾ対応の携帯プレーヤーだ。ハイレゾ音源に対応した携帯プレーヤーは、アイリバーの「Astell&Kern AK100」のように、冒頭で紹介したウォークマンよりも先行しているモデルもある。
ハイレゾ音源は、情報量自体がCDレベルの音源よりも大きいし、音質劣化が生じない非圧縮やロスレス圧縮で保存することが多いため、携帯プレーヤーのメモリを圧迫しやすい。
だが、携帯プレーヤーのメモリー容量も、多いものでは128GBなどと大容量化しており、実用上大きな問題ではなくなっている。今後登場する携帯プレーヤーは、間違いなくハイレゾ対応が必須になっていくだろう。
ハイレゾ対応ウォークマンは、iPodとシェアを2分するほどの人気を誇る携帯プレーヤーであり、それがiPod勢に先行してハイレゾ対応を果たしたインパクトは大きいだろう。
その最大の特徴は、Andoroidであるがゆえに内蔵アプリで音楽配信サービス「mora」などにアクセスし、PCなしでハイレゾ楽曲を購入、そのまま再生できてしまうことだ。
携帯端末なのだから、接続はワイヤレスが理想的だし、ハイレゾ楽曲を再生するのだから、ワイヤレススピーカーもハイレゾに対応するのが望ましいのは必然だ。
筆者自身は、2014年にはこうしたワイヤレス伝送でハイレゾに対応した製品が登場するものと予想している。新しいワイヤレス伝送規格が登場するのか、Wi-FI接続ならばAndoroidなどのOSベースでの対応も必要になるなど、時間がかかるかもしれないが、アダプタータイプのワイヤレス送受信機器などで早期対応も可能だ。
まずは有線のデジタル出力でハイレゾを楽しめるポータブルヘッドホンアンプなどが登場し(ソニーの「PHA-2」はNW-ZX1などとデジタル接続が可能)、次第にワイヤレス接続でハイレゾ音源を楽しめるスピーカーなども登場してくるものと予想している。
このように環境が整ってくれば、次はスマホだ。すでにNTTドコモから発売されている「LG G2」などがハイレゾ再生対応を果たしているが、Androidの対応が整ってくれば、デジタル出力なども可能になるだろう。
こうなると、ハイレゾ再生もより容易に楽しめるようになり、さらなる普及が見込める。この段階になれば、きっとアップルも重い腰を上げ、iTunesでのハイレゾ音源取り扱いを含めたハイレゾ対応をしてくると期待している(iPhone、iPod touch自体は、ハイレゾ再生アプリも登場しているほか、iOS 7以降はLightning to USB Camera Adaptoerを使ってデジタル出力が可能)。
これが2014年中にすべて実現できるとは思わないが、オーディオ界はきっとこの方向で進んでいくものと考えている。
AVアンプはハイレゾ対応はあたりまえ!?
AVアンプは、もともとBDソフトで採用されている「ドルビー Ture HD」や「DTS-HD Master Audio」が最大192kHz/24bitのハイレゾ音源をサポートしていることもあり、ネットワーク経由のハイレゾ再生への対応がしやすかった。
このため、今や各社のAVアンプのほとんどは、ハイレゾ再生機能を備えており、上級機ならば「DSD」音源の再生も可能という状況だ。
AVアンプは、幅430mmのフルサイズでかなり大きなコンポのため、PCなどを組み合わせて使うには少々大げさだ。PCと一緒に机の上で実現できるシステムは無理でも、リビングなどでよりすっきりと設置できるコンパクトなAVアンプも登場してきている。
以前はAVアンプは大きいのが当たり前という風潮があり、人気はいまいちだったが、ハイレゾを含めオーディオやAVの楽しみが注目を集めてきたことで、今後はコンパクトサイズのAVアンプへの注目が高まるのではないかと思う。