ーマザーボードも随分小さくなったようですね。
「面積比で26%、重量比で37%小型化しています。単純にモジュール類もそれぞれ小さくなっていますが、回路も一から見直し、部品の構成数を減らしています。そういう意味では、マザーボードの小型化はコスト的にも重要な部分でした。注目していただきたいのは、ワイヤレスWANのカードです。これまではMini PCIe規格のものでしたが、今回からM.2規格のものを採用しています。単純にシステムを小型化する目的もありますが、M.2規格の標準化へ向けた取り組みという側面もあります」
「選んでもらえるビジネスツール」を目指すThinkPad
—設計と同時に業界への提案もしているというわけですね。今後のThinkPadの展望、あるいは何か目指していることはありますか?
「ThinkPadを『最高のビジネスツールにする』というのが我々がずっと掲げている目標です。最高をどうとらえるかということですが、ひとつにはやはり使いやすく、丈夫で壊れにくいというのがあると思います。X240ではその部分を維持したまま、デザインや細かな使い勝手も進化しているので、より優れたビジネスツールに仕上がったと思っています。『どうせ仕事用のPCだから何でもいい』という人はあまりいません。PCの使い勝手は業務の効率に直結しますから、ほとんどの人がこだわりを持っているはずです。様々なノートPCがある中で、多くの人に選んでもらえる、使いたいと思ってもらえるThinkPadを追究していきたいですね。“ゴム足やネジの新規開発”も、その一環なのです」
“バネ”の例をノートPCに置き換えて考えてみる。ノートPCというと、ハードウェアの性能や全体的な外観の印象に注目が集まりがちだ。しかし考えてみれば、ネジやゴム足だってノートPCを形作る要素に違いない。ネジやゴム足がなくてはノートPCとして成り立たないのに、使っているときはネジやゴム足のことを考えない。しかし何とも因果なことだが、「使っているときに意識が向かない」というのはある意味で脇役の理想なのかもしれない。「意識する必要がないほど上手く設計され、組み込まれている」ということでもあるからだ。