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高い拡張性で業務量やデータの増大にも対応

基幹業務もビッグデータもOK!富士通、新ETERNUS DX投入

2013年11月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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11月6日、富士通はビッグデータに対応するストレージの新製品「FUJITSU Storage ETERNUS DX Series」の新モデルおよびストレージ基盤ソフトウェア「ETERNUS SF 16」を販売開始した。発表会では、今後の製品計画やグローバルでの展開も披露された。

プラガブルアーキテクチャで高い拡張性

 発表会で登壇した富士通 サービスプラットフォーム部門副部門長 執行役員常務 豊木則行氏は、2013年の4ZBから2020年には約10倍に増加するデータ爆発・ビッグデータ時代とも呼べる状況を概説。あわせて、ビジネスイノベーション領域のビッグデータを活用する基盤として、ストレージがキーコンポーネントである点をアピールした。

富士通 サービスプラットフォーム部門副部門長 執行役員常務 豊木則行氏

 こうしたビッグデータに対応するストレージとしては、基幹系や情報系まで含めた処理量の増大、ディスクや電力コストの増大、そして多種・大量なデータの管理負荷という3つの課題があるという。「データ爆発という現象により、もともとあったこれらの課題が顕在化してきた。もはや従来の延長線では対応しきれない」(豊木氏)。

 これに対して、今回発表されたETERNUS DX S3シリーズは、プラットフォームの基盤に新たに仮想化レイヤーを追加することで、高い拡張性を確保する「プラガブルアーキテクチャ」を採用。さまざまなソフトウェアとハードウェアを容易にアドオンし、基幹業務のみならず、情報分析などにも対応できるとアピールした。

ハードウェアやソフトウェアを容易にアドオンできるプラガブルなアーキテクチャを採用

ビッグデータを前提に、ハードウェアを底上げ

 ETERNUS DX Seriesは基幹系・情報系向けの汎用ディスクアレイ装置で、今回「ETERNUS DX100 S3/DX200 S3/DX500 S3/DX600 S3」の4モデルが追加されたことで、従来のエントリ向けのDX60 S2とハイエンドのDX8100 S2/8700 S2とあわせ計7モデルのラインナップとなった。

新ETERNUS DXのラインナップ

 ETERNUS DX S3シリーズ最大の特徴はビッグデータに対応する高い性能とキャパシティを実現した点だ。最新のインテルのマルチコアCPUにより、大量のワークロードを効率的に処理することが可能になった。また、キャッシュメモリの容量を最大4倍に拡張したほか、最新のSAS 3.0のドライブ、16Gbps FCにも対応。これらハードウェアの底上げで、ランダムI/O性能で5倍、シーケンシャル1/O性能でも3倍の速度(従来モデル比)を実現しているという。

マルチコアの処理を最適化することで、高い性能を実現

 またSANとNASのいずれの用途でも使えるユニファイドストレージとして利用できるのも大きなポイントだ。従来はSANストレージとNASを別々に用意し、異なる管理を行なう必要があった。今回のETERNUS DX S3シリーズでは、最新のストレージ管理ソフトウェア「ETERNUS SF 16」との組み合わせにより、1つのGUIで統合管理することが可能になった。しかもコントローラーにEthernetカードとキャッシュメモリを増設するだけで、NASとして動作させることが可能になるため、別途NASゲートウェイは不要になる。

 業務量の増加に速やかに対応する拡張オプションも充実。「Extreme Cache」と呼ばれるフラッシュユニットは、専用スロットにカードを挿すだけで、性能を飛躍的に向上できる。容量は最大容量は5.6TBでホットプラグでの増設が可能になっている(DX500 S3/DX600 S3のみ)。

 さらに4Uの筐体に3.5インチHDDを最大60本搭載できる「高密度ドライブエンクロージャー」も追加された。ニアラインHDDを高密度実装し、従来に比べて設置面積を50%以下に低減。使用頻度の低いディスクドライブのスピンドル回転を停止させるMAID(Massive Array of Idle Disks)機能のほか、ディスクへの電力供給を停止する機能を追加し、省エネ性能も高めた。HPCやアーカイブ用途に最適だという。

ニアラインHDDを4U筐体に最大60本搭載できる「高密度ドライブエンクロージャー」

 ソフトウェアも改良されており、ETERNUS SF 16との組み合わせにより、運用の自動化が推進されている。たとえば、アプリケーションの要件にあわせてリソース配分を自動化する機能が投入された。管理者がアプリケーションに合わせた目標レスポンスを設定しておくと、性能データを収集し、目標レスポンスの達成度合いをチェック。アプリケーション間でリソースを調整を行なう。つまり、ストレージがシステムを自動チューニングするというわけだ。

データの自動再配置によるリソースの最適な活用

 アクセス頻度に応じてデータを自動配置するストレージの階層管理もますます強化された。アクセス頻度の高いいわゆるホットデータを高速なSSDに保存するほか、平日/休日などの負荷変動に考慮したデータ配置が可能になる。

グローバル展開も本格化!新製品の投入も

 発表会では豊木氏は、ストレージ事業のグローバル展開についても言及した。現在、ETERNUSシリーズは、世界80カ国で導入済みだが、今後北米、ヨーロッパ、APACなどの新興国を中心に、パートナーとの提携を強化し、ビジネス拡大を進めていく。また、プラットフォームソリューションセンターを世界の7拠点に設置し、さまざまなサーバープラットフォームとの相互接続検証を行なっていく。

 製品に関しては、今回発表されたDX S3/SFシリーズの強化のほか、情報系、コンテンツ系などを見込んだ新製品を2014年に投入。「日本からワールドワイドに新テクノロジーを提供していく」(豊木氏)と、その抱負を語った。

ストレージ製品の計画

 新製品の価格はDX100 S3が196万円~、DX200 S3が500万円~、DX500 S3が793万6000万円~、DX600 S3が1155万7000円~(すべて税別)。ETERNUS SF 16は複数のツールから構成されており、SAN/NASの共通セットアップや性能・障害管理を行なう「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」が41万円~、高速コピーによるバックアップやレプリケーションを実現する「ETERNUS SF Advanced Copy Manager 16」が51万円~、エントリ向けの導入運用管理ソフト「ETERNUS SF Express 16」が16万円~となる。出荷開始はすべて2013年12月16日。

新モデルのETERNUS DX200 S3とETERNUS DX600 S3

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