10月3日、シトリックス・システムズ・ジャパンはクラウド&ネットワーク事業に関する戦略説明会を開催した。NetScalerやCloudPlatformなど既存製品の強化はもちろん、シスコとの提携をはじめとした、さまざまな形のパートナー戦略を戦略の中心に据えている。
クラウド&ネットワーク分野の売り上げが伸張
シトリックスといえば、VDIプラットフォームであるXenDesktopというイメージは強いが、NetScalerを筆頭にするクラウドネットワーク製品やCloudPlatrofmのようなクラウドプラットフォーム製品にも注力しており、年々売り上げの比重も増している。戦略発表会の冒頭、登壇したシトリックス・システムズ・ジャパン クラウド ネットワーキング ソリューション事業部長兼パートナービジネス担当 鈴木和典氏は、「2003年の段階ではモバイル&デスクトップが100%だったが、現在では55パーセント、コラボレーション&データが20%、クラウド&ネットワークで25%にまで拡大している」と述べた。
こうしたクラウド&ネットワーク事業のビジネス強化のため、同社は「プロダクト」「ハイタッチ」「チャネル」の3本の矢を成長のドライバーとして用意する。後述する新製品の投入やシスコとの協業といった施策に加え、パートナーセールス強化のための人員拡大、パートナー開拓や育成を行なうための教育プログラム、専任ハイタッチセールス強化など営業支援体制の拡充などを図るという。また、「中小企業や地方などに対するソリューションの訴求はまだまだ」(鈴木氏)とのことで、スモールビジネス市場への製品・サービスの訴求も進めていくという。
さらに、通信事業者やクラウドサービス事業者に向けた販売体制の強化を図る。「従来、サービスプロバイダーの基盤として同社のクラウド製品が導入されることが多かったが、昨今は企業のプライベートクラウドでの利用が増えてきた。今後はごく自然にハイブリッド環境に移行できるようにする」と述べ、クラウド連携の製品やソリューションの強化を進めるという。スマートデバイス向けのインテリジェンスな配信を実現する「ByteMobile Adaptive Traffic Manager」についても言及し、通信事業者のARPUやユーザーエクスペリエンスの向上に寄与できる製品とアピールした。
他社製品との連携やビデオ配信の最適化
ネットワーク製品のアップデートに関してはクラウド ネットワーキングソリューション事業部 ネットワーク クラウド技術統括部 SE部 統括部長の犬塚昌利氏が説明した。
まず、WANの高速化を提供してきた「Cloud Bridge」は、クラウドやDRでの利用が増えてきたことを受け、ラインナップや機能を強化したという。最新バージョンの7では、XenDesktop環境のコンテンツ圧縮やキャッシングなどを行なうことでビデオ配信の最適化を実現。また、IPsecとL2のトンネリングを用いた「CloudBridge Connector」の機能により、クラウド間のセキュアな接続が可能になったという。
また、ADCのNetScalerに関しては、従来の「NetScaler MPXシリーズ」のほか、仮想アプライアンスの「NetScaler VPXシリーズ」、XenServerを搭載した「NetScaler SDXシリーズ」というラインナップが用意されている。ADCとしての基本機能やクラウドへの対応のほか、NetScalerではスケールアップ、スケールイン、スケールアウトという3種類の拡張を行なえる「TriScaleテクノロジー」が高い評価を受けているという。「(クラスター化で)マネジメントの一元化は実現しているベンダーも多いが、NetScalerは台数分のパフォーマンスをシステムとして出せる」(犬塚氏)。
新モデルとしては、業界最高のSSL処理能力を誇る「NetScaler MPX22000シリーズ」を投入。さらにマルチテナントを指向するNetScaler SDXでは、テナントごとに完全なリソース分割が可能になったほか、さまざまなサービスを共通基盤に載せる「Service Delivery Fabric」の概念を導入した。最新のVer 10.1ではサードパーティのアプリケーションをサポートし、パロアルトやCSEなどの他社のセキュリティ製品をサービスとして展開できるという。
なお、NetScalerとCloud Bridgeはインターネットイニシアティブの「IIJ GIO コンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ」で提供する「ソフトウェアライブラリ」で利用可能になった。IIJ GIO上の自社システムで、ユーザーはNetScalerの仮想アプライアンスを導入できるという。
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