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クーポン、送客だけじゃない!アットコスメのO2O (2/2)

2013年09月27日 11時07分更新

文●三浦たまみ

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SPでもフル活用

 アイスタイルが、口コミサイトの『@cosme』などのデータを活用したO2Oの“応用編”が、SP(セールスプロモーション)事業だ。写真を見てほしい。

アイスタイルのオリジナルの販促ツール(什器)

 これは、井田ラボラトリーズ社とタイアップしたときに作った、オリジナルの販促ツール(什器)だ。『@cosme』のフレグランス部門で1位になった商品を、いかに店頭でアピールすべきか考えて制作したものだが、デザインもさることながら、口コミデータの分析をもとに、どんなキャッチコピーを入れたら、より訴求力が高まるかについて徹底的に追求した。

「『フレグランス部門で1位!』などとランキングを目立たせるのは、商品を目にとめてもらえる意味で重要な情報ですが、それだけでは自分にとってどう良いのかが分からず、購入の決め手になりません。この商品の場合、クチコミを分析していくと、『匂いがキツすぎないのがいい』『シャンプーの香りだから男性うけもいい』などという声が多かったんです。そこで、メインのキャッチコピーを『きつすぎないシャンプーの香り』にして、実際に使っている人の代表的な口コミも載せるようにしました」

 メーカー側はアイスタイルが制作したオリジナル什器を、アットコスメストアだけに限らず、ドラッグストアなど外部のお店にも設置している。こうしたアットコスメのオリジナル什器は、流通や小売りからの評判も良く、メーカーが通常自社で制作する什器の1.5倍〜2倍の出荷数になる事が多いという。やはり、生活者の生の声、口コミの威力は絶大だ。

クチコミを分析して、実際に使っている人の代表的な口コミの威力について語る石井 亮氏

 その他、同社のデータは、さまざまな企業とコラボレーションする際にも活用されている。 そのひとつが、ファミリーマートのコラボレーションだ。ファミリーマートの一角に、『@cosme』とコラボして作ったスペースを作り、ランキング上位の商品を中心に販売している。コンビニでは、手頃な価格で買えるハンドクリームなどの商品と親和性が高く、“ついで買い”に誘導できる。

 もうひとつは、阪急百貨店の化粧品フロアの一角で運営されている「きれいきれいステーション」とのコラボレーションだ。「きれいきれいステーション」は、そのフロアで販売されているさまざまなブランドの化粧品のうち、どの商品がお客様に合うのか、コンシェルジュが提案してくれるサービスだ。『@cosme』のランキングがディスプレイされているので、お客様は、画面を見れば何が人気商品なのかが分かるようになっている。

「コンビニと百貨店は、業態はまったく違いますが、当社の場合、商品ごとにデータを蓄積していますから、それぞれの特性に合わせて商品をピックアップしてご提案する、ランキングデータを提供するなどができるのです。データを軸にすれば、いかようにもアレンジできる。これは、当社の大きな強みだと思っています」

 O2Oは、単にクーポンを配布するという単純な送客スタイルにとらわれるものではなく、その根幹には、オンラインとオフラインをシームレスに行き来できる利便性の高さ、両者を連動させることによる商品の探しやすさ、情報の質の高さを、お客様に提供することが求められる。

 アイスタイルは、それを、とうの昔から実践し、現在は、他企業とコラボレーションしながらO2Oを実践するところまで進化を遂げていたのである。

 次回は、実店舗を所有していないにも関わらず、O2Oに取り組んでいる『オーマイグラス』の事例を紹介しよう。

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