LG Electronics Japanと京セラが、都内で共同説明会を開催。LGの曲面有機ELテレビに搭載されたピエゾフィルムスピーカー「クリアスピーカー」について、解説が行なわれた。
ピエゾ素子とは、圧力を加えることで電気に変換する、もしくはその逆で電気を流すことで力(振動)に変換する素子を指す。京セラはファインセラミックスを用いたピエゾ素子を、ディーゼルエンジンのインジェクターや、高速インクジェットプリンターのヘッド部分でインクを吐出するアクチュエーターなど、幅広い形で応用を進めている。
そのピエゾ素子の新たな活用法として、開発が進められているのがスピーカーだ。ピエゾフィルムスピーカーは、ピエゾ素子と樹脂フィルム全体が振動することで音を出すのが特徴的で、従来の電磁式スピーカーと比べると、音の指向性が広く、また応答速度が速いため、細かな音の再生能力で優れているとする(一方低音域では課題とも)。
さらに薄型化が可能なのも大きな特徴で、搭載機器のデザインの自由度にプラスとなるほか、電磁式スピーカーのマグネット部に必要なレアアースが不要であることもメリットとのこと。
このピエゾフィルムスピーカーがテレビ向けに初めて搭載されたのが、今年5月に韓国とアメリカで発売されたLG製の55型有機ELテレビ。テレビ全体が緩やかな曲面になっているのだが、曲面型のアドバンテージとしては、大型テレビで発生する画面までの距離差の最小化、また視角範囲の拡大があり、より迫力のある映像が楽しめるとする。
本テレビには、下向きの電磁式スピーカーも搭載されているが、これに前向きのピエゾフィルムスピーカーをプラスすることで、中高域の透明度や明瞭感、臨場感の追加が可能になった。
京セラではピエゾフィルムスピーカーのタブレットや車載機器などへの応用を検討し、さまざまな機器メーカーとの話し合いを進めており、来年度は100万台のデバイスの出荷、5年後には100億円規模のビジネスに拡大することを目指している。
なお、上述の55型有機ELテレビについて、日本国内での販売予定はないのか? という質問がLGに対して投げかけられたが、「(現行モデルはフルHDだが)日本では4K化も進んでおり、来年に満を持して出した方がいいと考えている」との答えだった。