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山谷剛史の「アジアIT小話」 第54回

中国で“ニセiMac”が秘密裏(!?)に大量生産されている

2013年08月22日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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ニセモノが多すぎてあまりインパクトがない……

淘宝網で売られているiMacは低価格順でソートするとニセモノばかり

淘宝網で売られているiMacは低価格順でソートするとニセモノばかり

黒いiMacが1000元を切るリーズナブルな価格で売られている

黒いiMacが1000元を切るリーズナブルな価格で売られている

 淘宝網で購入できるニセiMacは、iMac型のショップブランドPCといってもいい。各ショップで本体のスペックは「CPUはAtomでHDDは小容量、メモリーは1GBのみ」というものから、「Celeron&大容量HDD搭載モデル」というもの、果ては「Core i7&SSD搭載モデル」といった具合に複数のスペックパターンが用意されている。

 ひとつのガワをベースにオーダーを受ける店が多く、複数のディスプレーから選べる店は少ない。淘宝網で購入するときには、いきなり購入ボタンをポチらず、専用のチャットソフトでの商談が作法だから、商談時にメモリーやストレージを好きなサイズで注文する。

 筆者も非常に関心があることから商談を開始。最初は「どれもホンモノ」と称し、「Core i採用のiMacはデュアルOSインストール済!」とさりげなく店内の本物のiMacを売り込みつつ、海賊版Windowsインストールをほのめかしていた店員も、「ニセモノをほしいから」と目的をいうと素直に対応。

 その店員から「CeleronモデルやAtomモデルでのデュアルOSはさすがに無理!」「買うのはガジェットギークな野郎ばかり」「1個売ると100元(約1600円)の儲け」などの情報を得た。そして正規版OSにリプレースする前提で、筆者も商談し購入をしたのだった。

 中国の知人に「ニセiMacが出たので買ったよ」と言ったら、存在を知らなくて驚いたのと同時に、冗談抜きに「爆発するかもしれないし、電磁波が酷いそうだから山寨買うのはやめようよ」と注意されたのであった。中国人は電磁波にはナーバスなのである。

ニセiMac登場を報じる記事

ニセiMac登場を報じる記事

 ニセモノがあまりに多く出回り、人民が慣れきってしまい、インパクトが少ないのか、ニセiMacの存在はあまり報じられておらず、報じられてもネットの反応は薄い。

 その反応の多くが「天朝(中国を皮肉る言葉)のニセモノ開発力は世界一ィィィ!」といった中国人のニセモノ開発力を褒め殺しするコメントや、「淘宝網でApple製品はニセモノばかりだからリアル店舗で買うしか」といったコメントや、「産廃」といったコメントばかり。

 このニセiMacについては次回紹介する……はず(普段より配送に随分と時間がかかっている)のでお楽しみに。

 補足だが、iMacのニセモノがあるくらいだから、当然Mac miniのニセモノも売られている。

記事掲載当初、「iMac mini」との記載がありましたが、正しくは「Mac mini」です。お詫びして訂正いたします(2013年8月26日)


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。

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