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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第316回

富士フイルムの高級コンデジ「X100S」で撮る猫

2013年08月09日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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周囲にあるものをうまく活用して雰囲気のある写真を!

上下のまっすぐなラインに傾きや遠近があると気になるので、こういうときは真正面から撮るべし。ちょうどいい感じで舌を出してくれた。でもこのあと「なあんだ、食べ物をくれるわけじゃないんだ」という顔で去っていっちゃいましたとさ(2013年7月 富士フイルム X100S)

上下のまっすぐなラインに傾きや遠近があると気になるので、こういうときは真正面から撮るべし。ちょうどいい感じで舌を出してくれた。でもこのあと「なあんだ、食べ物をくれるわけじゃないんだ」という顔で去っていっちゃいましたとさ(2013年7月 富士フイルム X100S)

 猫が「なんだなんだ?」と近づいてきてくれると大きく撮れる。

 公園の低木の中に猫がいたので試しに呼んでみたら、ちょろっと舌を出しながら顔を見せてくれたので、その瞬間に連写で撮影。

 レンズがF2と明るいので前後がほどよくボケて、顔だけに焦点が合って雰囲気のある写真になってくれた。

 上と下に手すりとコンクリートがどうしても入っちゃうので、それが斜めにならないよう、真正面を意識して撮るのがポイント。

 猫が寝てたら、そっと近寄ってみる。

 顔にピントを合わせ、前後が大きくボケるよう絞りを開放にしてそっと撮影(前ページ冒頭写真)。前後がきれいにボケるのも高級コンパクトの良さ。首輪をしてたのでこの辺の飼い猫だろう。

 寝姿を撮った後、起こさないようそっと離れたら、どうも狸寝入りをしていたようで、私の姿が遠ざかった途端むくっと起き上がったのである。

 なので、とっさに電柱と壁の間から狙ってみた。左に電柱が大きく入っているおかげで、こっそり覗いてる感を出せた。

腕を前に伸ばせばもうちょっと近寄って撮れたけど、電柱が入ったほうが、電柱の影から覗いてる感があって面白いかなとあえて寄らずに狙ってみた(2013年7月 富士フイルム X100S)

腕を前に伸ばせばもうちょっと近寄って撮れたけど、電柱が入ったほうが、電柱の影から覗いてる感があって面白いかなとあえて寄らずに狙ってみた(2013年7月 富士フイルム X100S)

 猫だけじゃなくて、その日の天候や周りの雰囲気も一緒に写し取れるのがいい。

 人を怖がらない人なつこい猫がいたら、指先をひらひらさせて呼んでみる。そうすると、とことことこと歩いてきて、指に激突。期待通りの動きをしてくれてありがとう。

 あらかじめ指先にピントを固定していいタイミングを待ってたのだ。

素直に近づいてくれたので指がほっぺに食い込んだ瞬間をゲット。ピントを自分の指先に合わせておくと撮りやすい。この日は自転車で移動してたので、手に自転車用グローブがはまってます(2013年7月 富士フイルム X100S)

素直に近づいてくれたので指がほっぺに食い込んだ瞬間をゲット。ピントを自分の指先に合わせておくと撮りやすい。この日は自転車で移動してたので、手に自転車用グローブがはまってます(2013年7月 富士フイルム X100S)

 この日は曇ってたのでしっとりした写真ばかりになっちゃったけど、それもまたよし……なんだが、似たテイストの写真ばかりでもアレなので、最後にうちの猫写真を。

 X100SはAPS-Cサイズの撮像素子を搭載してるので、ISO感度を上げても大丈夫。

 そこで、暑い日にスチールの棚の下に隠れて涼んでる「大五郎」をISO 6400まで上げてそっと狙ってみた。天板に空いた穴から漏れた光が面白かったので、それを生かすよう、思い切りプラスの補正をかけてほわっとさせてみたのがミソ。

ちょっと夏バテ顔なのはまあしょうがないですな。この場所が気に入ったようで、暑い日はたいていここで転がっております(2013年7月 富士フイルム X100S)

ちょっと夏バテ顔なのはまあしょうがないですな。この場所が気に入ったようで、暑い日はたいていここで転がっております(2013年7月 富士フイルム X100S)

 単焦点の高級コンパクトって、写真好きが街のスナップを気持ちよく撮るための道楽カメラってイメージが強いんだけれども(まあ確かにそうなんだが)、街の猫を撮るにもいいのだ。

 ズームレンズなんかなくても、猫が遠いときは周りの雰囲気も一緒に撮ればいいし、近いときは背景を大きくボカして猫に焦点を当てた写真を撮ればいい。写りがいい分、どんなシーンでもしっかり雰囲気を捉えてくれるから問題ないのである。

 写りがいいカメラはその分高価なのだけど、まあそれは当たり前といえば当たり前です。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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