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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第123回

KORGのKROSS開発者インタビュー

女子が軽々持てる61鍵シンセは「ライブの時代」の先端をいく?

2013年06月15日 12時00分更新

文● 四本淑三

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キーボードが弾ける人のためのモバイル環境

―― ワークステーションというと家でチマチマ使うイメージで、電池駆動のメリットはどこにあるんでしょう?

中原 今はパソコンとnanoKEY※4を持って行けば、どこでも曲は作れると思うんですけど、やっぱりキーボードを弾ける人にとっては、nanoKEYよりもフルキーボードの方がいいわけです。その場合は、これ1台持って行けばパソコン要らないわけですよね。

川原 パソコンと比べて決定的に違うのは演奏性だと思うんです。プリプロを作るのにすごく便利なんですね。軽いという特徴を活かせば、家でプリプロを作ってスタジオに持って行ったり。バンドのメンバーと演奏してみて、違うなと思えばその場で直したりもできますから。

岡崎 これ1台あれば、とりあえずなんでもできる。そういうものを目指したんですね。弾き語りのライブだとミキサーが必要だったり、シーケンサーが付いていなかったり。本体を軽くしても、持って行くものが増えて、全体として軽くならない。だからKROSSにはマイクイン、ラインインも付けて、オーディオレコーダーも入れてしまいました。

―― ワークステーションというと、パソコンに比べると画面が小さいので、使いにくいというイメージもあるんですけど。

中原 パネルに並んでいるボタンも含めて、全体が画面だと思っていただければ、相当広いと思うんです。

―― あ、なるほど。

中原 今から10年くらい前の話ですけど、EMXやESX(Electribeの現行機種)は、僕や岡崎が担当でやったんですが、あの時のライバルがパソコンの音楽制作環境だったんです。だから、パソコンと同じ感覚で持っていけるサイズを目指したんです。今はそれも一巡りして、パソコンでやるよりこれ1台でやったほうが便利じゃない? という提案でもあるんです。そういった意味でステップシーケンサーとしてElectribeのようなボタンが付いているんですね。

―― ホントにボタンの配置がUIがElectribe的ですね。

中原 強力なアルペジエーターも入っていて、それだけでも結構面白いです。

ステップシーケンサーのボタンはElectribeのようにステップごとに並んでいる

リズムパターンのプログラム画面

泉山 シンセを初めて買う方には、長く遊べるんじゃないかと思いますね。オーディオレコーダーに関しては、MIDIと同期するオーディオトラックも考えたんですけど、あえて弊社のレコーダー「Sound on Sound」を入れてみたんですね。そのほうが分かりやすいなということで。

―― じゃあ、無限ループみたいなこともできるんですか?

泉山 はい、多重録音機能を持たせてあって、どんどん重ねていって、間違えたらUndoで戻していくという方式です。

―― 録音したファイルはSound on Soundのように、個別のトラックとしてエクスポートできるとか?

泉山 いえ、これは多重録音機能だけに特化したので、エクスポートすると1つのWAVファイルになります。

岡崎 演奏性で言えば、キーボードのスプリットとかレイヤーなんかも簡単にできるようにしてあります。それで音色をアサインすると自動でネーミングもしてくれます。

―― じゃあ、用途の広い音色をプリセットで用意しておいて簡単に、という方向の設計なんですか?

川原 いえ、ディープな音も入っていますし、エディットで作り込みもできます。企画の方からピアノ、エレピ、オルガンをしっかりやってくれと。そこは特にしっかりやっているんですが、すべての音色カテゴリーで初めて入るPCMが何かしらあります。中でも、ストリングスはグッとリアルになりましたし、ドラムとシンセは最近流行りのEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)やダブステップに使えるよう大幅にパワーアップしています。

オーディオデータの記録メディアはSDカード。32GBまで対応

音色の切り替えはロータリー式ノブでカテゴリーを選択する方式で分かりやす

PC用のエディターも発売と同時に無償ダウンロードでリリース予定

中原 世の中でバンドって言うとギター、ベース、ドラムで「けいおん!」みたいな風に考えるんですが、男の子がPCでトラックを作って、彼女がキーボードを鳴らして、というユニットもいっぱいあるわけですね。

―― 最近のテクノ系のユニットは大体そんな感じですよね。

中原 だからシンセもどんどん変わって行かないと。それで女の子が歌うのなら、ボコーダーが入っていた方がいいね、とか。だから単に上の機種の機能を持ってきて、安く軽く作ったということではなく、軽いからこそ使って欲しい人達というのがいる。そこを考えて音色も作っているということです。

※4 薄型でベロシティ対応の25鍵盤キーボード



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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