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広まるほど収益化できないスカイプのジレンマ

2013年06月04日 07時00分更新

文● 澁野 義一/アスキークラウド

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動画の強みを活かしサポートで差別化

 スカイプは、LINEやcommなどのライバルたちをどう見ているのだろうか。チャットアプリとスカイプを比べた場合、必ずしも競合には当たらないというのが田中氏の見解だ。

 「スカイプの強みはビデオ機能。ビデオとチャットは、使い方や利用頻度が異なります。チャットアプリとスカイプを比べるのは、ちょっと違うのかなという気がします」(田中氏)。

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スカイプのインターフェース。PC内のアドレス帳を参照できるほか、Facebookアカウントでもログイン可能だ

 では、Googleの「ハングアウト」はどうだろうか。チャットに加え、ビデオ通話もできる。スマートフォン(スマホ)寄りのチャットアプリより、位置づけはスカイプに近い。

 田中氏はハングアウトの使いやすさを認めつつ、「音質や動画品質についてはまだスカイプが上」と指摘する。またビジネス用途で利用する場合は、サポートの有無が大きな差別化になるという。

 「マイクロソフトにはカスタマーサービスのチームがあります。スカイプを利用頂いている企業さまには、きちんとしたサポート体制を付けられると思います」(田中氏)。

 スカイプの音声通話やビデオ通話機能を活かし、トラブルがあってもその場でマイクロソフトから手厚いサポートを受けられるというのは、ビジネスの現場では魅力だ。

 では、スカイプ自体を他社のサービスに組み込み、サポート用途などで使ってもらうビジネスの可能性はないのだろうか。

 田中氏は「その件についてはノーコメントです」としつつも、興味深い例を語ってくれた。

 「かつてSkype社がeBayの傘下にあったとき、eBayのウェブサイトにクレームが来たときにスカイプが起動し、カスタマーの顔を見ながらサポートしていくというアイデアがありました」(田中氏)。

 スカイプの応用範囲は広い。今後は介護や医療といった分野にも、積極的に乗り出していくという。「スカイプを生活の役に立てたい。今年から来年にかけていろいろな施策を打っていきますので、ぜひ期待していて下さい」(田中氏)。

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