スマートフォンの裾野が広がっている。そしてメーカー間のバトルはハイエンドからミッドレンジ、さらにはローエンドに拡大しつつある。

新興国向けのローエンド端末は今も昔もNokiaを支えている。ここにもAndroidスマホが押し寄せている
日本市場ではあまり話題にならないが、ミッドレンジからローエンドは世界的にみると重要な市場だ。50~150ドルのスマートフォンが2013年のスマートフォンの主戦場と見る向きもある。長年このエリアで大きなシェアを占めてきたNokiaだが、ハイエンド同様、苦戦の様相を呈してきた。NokiaはAndroidを採用すべきではないかという意見も再度見られるようになってきた。
100ドル前後で登場するスマートフォン
スマホかフィーチャーフォンか、境界が曖昧に
NokiaはWindows Phoneラインの「Lumia」のほかに、現在もう1つ「Asha」というブランドを持つ。AshaはLumiaと同時期の2011年秋に登場しており、GPRSなど高速ネットワークが普及していない市場向けに、安価だがモダンな外見とタッチ画面などの機能を持つ端末を揃えてきた。OSにはプロプライエタリなSeries 40を採用するが、Nokiaは「スマートフォン」として分類しており、SymbianからWindows Phoneへの過渡期である現在のNokiaを支えている存在だ。
5月初め、Nokiaはインドで最新の「Asha 501」を発表。Asha戦略を強化した。OSは“Ashaプラットフォーム”として一新し、UIはアイコンが並ぶこれまでの“Home”に加えてよく利用するアプリへのアクセスを容易にする”Fastlane”を導入した。
圧縮技術を利用したブラウザー「Xpress」も強化した。Facebook、WhatsAppなどのアプリ、デュアルSIM、バッテリー持続時間(シングルSIMで48日)など、インドのような市場で重要な機能を揃えるとともに、3.2メガピクセルカメラを搭載し、価格は99ドル。Nokiaは同時にアプリのエコシステムの構築にも乗り出す。開発者はJavaベースの開発ツールを利用してAsha向けにアプリを開発し、「Nokia Store」で公開できる。
ちなみにNokiaのWindows Phoneラインで最も低価格な「Lumia 520」は139ユーロ(180ドル)。価格や機能の面で、スマートフォンとフィーチャーフォンの差が曖昧になってきたと感じる。

この連載の記事
- 第301回 欧州で中古スマホ販売を拡大するフランスのベンチャーが日本市場に本腰、2023年は前年比3倍が目標
- 第300回 2022年はLTEと5Gの世代交代の年 LTEは今年がピーク、5Gは2027年に48%に達する
- 第299回 インフレ、中国ロックダウン、ウクライナ情勢……世界スマホ市場は不調でマイナス成長へ
- 第298回 Galaxyの好調でサムスンのスマホ世界シェアが24%に 2017年来の最水準
- 第297回 カナダ、米英豪からは遅れて、5GネットワークからファーウェイとZTEを除外へ
- 第296回 iPhoneをついにUSB-C化させる!? EUで可決された「RED」とは
- 第295回 ロシアとの関係に揺れる北欧のモバイル関連企業
- 第294回 カナダから3年ぶりに帰国して英雄視されるファーウェイCFO、同社トップの地位に近づく
- 第293回 ついに世界のスマホの新規販売で5Gスマホが4Gを上回る
- 第292回 サステナビリティ重視で欧州で整備済みスマホの販売に存在感 フィンランドのベンチャーが大型資金調達
- 第291回 当初予想より弱含みのスマホ市場もアップルの好調目立つ 2021年Q4はiPhone 13でシェアトップ奪回
- この連載の一覧へ