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日本上陸(?)のスマホも続々発表! MWC 2014レポ 第18回

Nokiaはなぜローエンド領域にAndroidスマホを投入したのか?

2014年02月27日 11時00分更新

文● 末岡洋子

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Nokia、Microsoft、Androidアプリ
3つの世界を組み合わせる

 スペイン・バルセロナで開催されている「Mobile World Congress 2014」でNokiaは事前の憶測通りに、Androidスマートフォンである「Xシリーズ」を3機種発表した(関連記事)。

 MWCの会場で、Nokiaのモバイルフォン事業R&D担当シニアバイスプレジデントのDirk Didascalou氏にXシリーズの背景などについて話を聞いた。

「Nokia X」を手にしたNokiaのDirk Didascalou氏

 NokiaがMWCで発表したのは、Androidのオープンソース版である「Android Open Source Project(AOSP)」を利用。Nokia製のユーザーインターフェイスを組み合わせたスマートフォンだ(OS名は「Nokia X Software Platform」と称している)。

 この手法は、Amazonが「Kindle Fire」で行なっているのと同じもので、AndroidスマホといってもAndroidっぽくないインターフェースで、Google製アプリやGoogle Playによるアプリマーケットは利用できない。

 1GHz動作のデュアルコアSnapdragonや4型のIPS液晶(解像度は480×800ドット)、3メガカメラなどの特徴を持つ「Nokia X」と「Nokia X+」(RAMはXが512MBでX+が768MB。X+は最大4GBのmicroSDカードも付く)、さらに画面サイズが5型と大きくなり、2メガピクセルのフロントカメラ、768MBメモリーなどのスペックを持つ「Nokia XL」の3機種が登場した。

4型液晶を搭載する89ユーロの「Nokia X」(左)、5型液晶で109ユーロの「Nokia XL」(→)。一般的なAndroidスマホとはまったく似通っていないUIだ

 今回インタビューしたDidascalou氏のモバイルフォン事業部は、NokiaのWindows Phone端末「Lumia」以外のすべて端末を担当する事業部となる。

世界で最も成長している100ドル以下の
ローエンドスマホの領域にAndroidベースの端末を投入

――Androidスマートフォン「Nokia X」を発表しました。Androidを採用した理由は?

Didascalou氏(以下、同) 今年のMWCでは、モバイルフォン事業部から3セグメントで製品を発表した。ローエンドのスマートフォン「Xシリーズ」として3機種(前述の「Nokia X」「Nokia X+」「Nokia XL」)、「Asha 230」「Nokia 220」だ。Nokia 220は“ファーストフィーチャーフォン”と呼んでいるセグメントで、もっとも低価格なラインだ。Nokia 220は29ユーロで、途上国の多くの人にとって、初めての電話、初めてのカメラ、初めてのデジタル音楽プレイヤー、初めての動画再生端末となる。

フィーチャーフォンでもSNSへのアクセスが可能で、Nokiaらしいデザインや操作性を持つ

 Ashaはスマートフォンが欲しいが、(経済的に)購入できない層に向けたもので、フルタッチ、インターネットへのアクセスなど、スマートフォンに似た機能を揃える。「Asha 230」はSkype、OneDriveなどのMicrosoftサービスも利用できる。アプリストアからアプリもダウンロードでき、価格は45ユーロだ。

フルタッチ型でスマートフォンライクな使い方が可能な「Asha 230」

 3つ目のセグメントがXシリーズで、今年のMWCの目玉となる。ローエンドの中でも高い価格帯になり、89ユーロからスタートする。このセグメントを新たに設けたのは、100ユーロ以下のスマートフォンは、最も成長しているセグメントだからだ。

 なぜAndroidなのか? NokiaはXシリーズで3つの世界を組み合わせる。

 1つ目がNokiaの世界で、我々が持つデザインや技術力だ。Xシリーズはハイエンドの「Nokia Lumia」との類似点を持たせており、最もハイエンドになる「Lumia 1520」などと同じように“ファビュラ(Fabula)アプローチ”を用いており、一つのパーツで覆われており継ぎ目がない。これにNokiaの特徴である鮮やかなカラーを加える(3機種は白、黄色、緑、青、黒、ピンクの6色展開)。

Nokiaの現行フラグシップである「Lumia 1520」。6型IPS液晶に20メガカメラ、2.2GHz動作のSnapdragonとAndroidのフラグシップと同等の性能を持っている

 このことは最もローエンドのNokia 220も同じ。29ユーロの端末から、600~700ユーロのスマートフォンまで一環している。内部のソフトウェアも同じで、Lumiaのタイルベースと同じようなルック&フィールでNokiaとすぐにわかってもらえる。1スワイプでアクセスできるセカンドホーム画面にはMeeGoスマートフォン「Nokia N9」で搭載した「FastLane」を採用し、受信したメッセージやSNSでのやり取り、検索など履歴が一目でわかる。このように、デジタルデザインも差別化となる。ハードウェアボタンは1つで、長押しで戻ることができる。

 これらに加えて、我々のお家芸ともいえる耐久性も備えており、衝撃や落下に強い。Nokiaの良いところをすべてもってくる。

 2つ目はユニークなMicrosoft体験だ。Skypeをプリインストールして、一部市場では国際通話を30日間無料で利用できる。アプリストアから「Outlook.com」をダウンロードでき、OneDriveでは10ギガバイトを無料でバンドルした。Bingが提供されている市場ではBing検索がデフォルトとなっており、Microsoft Exchangeもフル統合した。People(アドレス帳)との同期もスムーズだ。

 3つ目がAndroidアプリで、Androidアプリケーションのエコシステムにリーチできる。

 このように、Nokiaの良いところを揃え、Microsoftサービスが動き、さらにAndroidアプリが動く。これを安価に提供する。途上国の若者はアプリが大好きだが、使うのが複雑と感じている。NokiaがUIをカスタマイズし、Microsoftのサービスを持ち込むことで、この課題を解決する。Xシリーズの3機種は、この価格帯で最も競争力のある製品だと自負している。

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