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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第75回

まもなく登場するか!? Facebookフォン――今度は本物?

2013年04月03日 16時30分更新

文● 末岡洋子

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「LINE」などのメッセージ系アプリの台頭

 確かにモバイルユーザーはスマートフォンでFacebookをマメに利用しているようだ。スマホユーザーは一日平均14回もFacebookをチェックしているというIDCの調査もある。

 ここで、Facebookのモバイル展開を振り返ってみよう。約1年前のIPO申請書類でFacebook自らが明かしているように、Facebookにとってモバイルは大きな課題だ。PC/ブラウザーベースでは広告という収益源があったが、当時はモバイルではしっかりした収益戦略がなかったためだ。その後Facebookはモバイルでスポンサー広告を導入、すでに結果は出ている。アプリ側では通常のFacebookアプリに加え、メッセージ系の「Facebook Messenger」、それに買収した写真共有アプリ「Instagram」などを揃える(関連記事)。

Facebookも専用のメッセンジャーアプリ「Facebook Messenger」を提供している

 現在10億人を超えているといわれるFacebook利用者のうち、モバイルユーザーは6億5000万人程度。すでに半分以上がモバイルとなっている。1月に発表した2012年第4四半期決算によると、前年同期比約40%増で伸びた広告事業のうち、モバイルは2割以上を占めるに至った。

 Google、Amazon、Appleなどとの争いに加えて、Facebookがモバイルで直面している脅威は小さなプレイヤーたちだ。日本で爆発的に普及した「LINE」、韓国を中心に人気の「KakaoTalk(カカオトーク)」、そして英語圏で人気の「Whatsapp」や「Kik」などのメッセージ系アプリがユーザー数を集めて機能を拡充しはじめており、Facebookのソーシャル領域と重なりつつある。スマートフォンで多くのユーザーが行なうことは、通話、テキストなどのメッセージであり、Facebookはここで、Facebook MessengerでメッセージとVoIP(一部市場)を無料で提供している。このように、モバイルでの戦いは多面的で競合も複雑だ。

 もう1つ、Facebookが何らかの形でスマートフォンのプラットフォームを持ちたいとする一方で、今年は「Firefox OS」などiOSとAndroidの独占状態を変えようという動きが目立つ。ここはAndroidとiOSの2極化への流れが顕著だった2011年との違いといえる。

そもそもスマートフォン用Facebookアプリの出来は……
ユーザーはFacebookフォンを受け入れるのか?

 ここまではFacebookの事情で、Facebookが自社ブランドスマートフォンを展開すると想定して、その背景について分析した。だが、結局重要なことはユーザーがFacebookフォンを持ちたいと思うかどうかである。“Facebook疲れ”などFacebookに飽きてきたユーザーも見られ、複数のSNSを使いこなす(メッセージ系ユーザーにはFacebookも併用している人が多い)中で、”Facebookフォン”といわれてユーザーは使いたいと思うのか、それとも囲い込みを恐れるのか?

 これと合わせて、そもそもiPhoneやAndroid用のFacebookアプリがそれほどの使い勝手を実現できていない点、またプライバシーへの懸念を考えると、どうしてもFacebookフォンへのニーズが見えないのだが……。Mark Zuckerberg氏にはメディアが予想できない戦略があるのだろうか? 4日の発表を待ちたい。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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