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4Kはレンダリングが大変──わかむらPが語るボカロ映像制作

2013年03月14日 18時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3

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1ヵ月の電気代が6万8000円のことも

C4Dの作業画面

── メインということは、ひょっとしてサブマシンもあったりします?

 C4D用のサブマシンがあって、さらにネットワークでつながったレンダリング専用マシンが4台、クローゼットに入ってます。


── よ、4台!?

 C4Dはネットワークレンダリングができるので、4台をLANでつないで複数台のマシンを使って、別々のシーンを一気に書き出すんです。前に秋葉原のパソコン屋に行ったときに、CPUはCore i7-2600、メモリーが12GB、グラボにHDDも付いて7万8500円というお得な感じだったので、「すいません4台下さい」って。


── ひょっとして今日の4K映像もそのマシンたちががんばったという?

 1番と2番ががんばりました。


── (爆笑)

 でもすごく電気代を食って、以前、「Weekender Girl」のPVを作っていたあたりですごく忙しくて、レンダリングマシンを3台常時稼働させていたら、電気代が6万8000円を超えたことがありました。メインマシンの電源が900Wなんですよ。レンダリングマシンは全部600Wだから、全部足すと2700Wが常に動いてる。もともとアンペアは60Aに上げてるんですが、そこに冷房が3台ついていたので。





── それってブレイカー落ちまくりなのでは……。

 引っ越してきた当時はよく落としてましたよ。落とすたびに「もっと大きい契約ってありますか?」って増やしていった感じです。しかも、レンダリングって1回じゃないんですよ。最初に触れたように、まずMMDの映像をレンダリングして、それをC4Dに持っていって、さらにAEに移すので3回。

 MMDはゲームのCGと同じでそこまで複雑なことをやってないので30分程度、AEからの書き出しも7時間ほどで終わりましたが、何が一番大変かってC4Dですね。1日半ぐらいかかりました。


── 1日半!

 それでも短くしたんですよ。いつもは1280×720ドットですが、今回は3840×2160ドットと面積が9倍。で、3DCGソフトって1ドットごとに計算して書き出しているから、1280×720ドットでもPV1本で1日でかかるのに、そのまま書き出したら9日かかることになる。これは納期に間に合わないということでひらめいて、レンダリングに時間がかかるところを別に書き出したんです。


── 別に書き出す?

 時間がかかるところは、照明効果と影、AO(Ambient Occlusion)の3つなんです。AOは、ポリゴンとポリゴンの隙間にあらかじめドロップシャドーを書き込む処理のこと。そこでこの3つは1280×720ドットで書き出して、3倍に拡大したものをAEのレイヤーに組み込んだ。そしたら1日半にまで短くなったという。


── 3倍にしても画質の劣化ってわからないものなんですか?

 AOは粒子を飛ばすので、ノイズっぽくなる。結局、いつも使うときにAE上でぼかしているので、3倍に拡大してもわからなかった。照明効果もぼやけてるので、伸ばしてもわからない。影はさすがに分かったんだけど、強めにぼかしてなんとかごまかしました。

 あとはMMDの時点で3倍にすると、元々のテクスチャ(3Dモデルの表面に貼付けられた画像)が4Kの解像度を考えられてなかったりしたので、それを全部書き直しました。

MMDの作業画面

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