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少量多品種の生産、ひと月に600種類を作ることも

神戸工場で、レッツノートが生まれる様子を見てきた

2013年02月15日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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 パナソニックは13日、同社の神戸工場内で、レッツノートユーザーを集めたイベントを開催した。近畿地方を中心に全国から12名が集まった。

パナソニック神戸工場

 パナソニックの神戸工場は、神戸市西区・西神工業団地の一角を占める。市の中心部からは地下鉄で約35分。大阪府守口市にある商品企画/設計のチームとは、高速道路で1時間程度の距離だ。

イベントに参加した人たち

 工場長の清水 実氏は「すぐに駆けつけられるというほど近くないが、翌日に対応する程度の時間があれば直接行っても問題のない距離。ほどよい自立を保ちながら、十分な連携が取れる地理関係だ」とする。開設は1990年6月で、パソコンの生産は同年8月から開始。20年以上の歴史を持つ。

レッツノートができ上がる様子を間近で見た

 レッツノートシリーズの特徴のひとつに、自社一貫のモノづくりがある。

 神戸工場では、レッツノート/タフブックシリーズの生産を基板の製造から本体の組み立てまで、ほぼすべてを完結できる(関連記事)。品質管理部門に加えて、修理サポートも同じ工場内で提供する。

 国内にノートPCの生産工場を置くメーカーは、パナソニック以外にもあるが、最終的な組み立てだけを実施している場合が多い。生産したレッツノートを、同社は「Made in 神戸」のキャッチフレーズでアピールしている。その言葉の通り、きめ細かなカスタマイズやリフレッシュメニューなど、自社一環のモノづくりだからこそできる取り組みを用意している。

神戸工場 工場長の清水 実氏

 「商品開発の思想をすべて実現する」と清水氏は話す。細かな仕様の異なる、多品種少量の生産にも柔軟に対応できる点が売りだ。神戸工場で生産されるノートパソコンは実に一月あたり600種類にも及ぶという。

 組み立てと検査に関する工程はすべてワンフロアーに収めている。「トラブルがすぐ分かり、すぐに駆け付けられる」ようにするためだ。製品の品質を左右する検査方法に関しては、いくつもの特許技術が用いられており、ユーザーに支持されるレッツノートならではの信頼感を陰で支えている。


 イベントの目玉のひとつは、レッツノートユーザーに対して、神戸工場の一部を公開し、レッツノートが生まれる場所を肌で体験できる機会を提供した点。参加者は、機器が発する電磁波を計測するための電波暗室や、堅牢性を検証するための落下試験の様子を、その目で確認できたほか、実際に稼動している生産ラインを巡りながら、レッツノートが組み立てられていくさまを間近で知ることができた。

電波暗室。6面を鉄板でシールドし、さらに内部で電磁波が反射しないように壁に突起を付けている。中央にはノートパソコンや周辺機器が設置されており、これを離れた位置にあるアンテナで計測する

測定は電波暗室を密閉した状態で隣室から行なう、右写真の画面内に表示されている赤線がCISPRの基準値

 レッツノートの中核機種である「CF-SX2」の基板には大小合わせて、約1500点もの部品が使われている。基板に実装される部品は、テープのようにロール状に巻かれた状態で納品されているが、各ロールにはバーコードが付与され、どの商品にどの部品を使い、いつ出荷したがトレースできる仕組みだ。

清水氏が手にしているのがLet'snote AX2とSX2の基板

基板はハンダを固めるために240度の高温で熱せられるため対策しないと写真のように歪んでしまうという

 これらの部品は、すべて神戸工場内で主基板に実装されて組立工程に回される。部品は小さいものから順番に段階を追ってハンダ付けしていき、最終的に240度の炉で加熱して固める。

メイン基板の製造ライン。大小さまざまなサイズの部品に対応する実装機が並ぶ

手前にあるテープのようなものに実装する部品が封入されている。七味唐辛子やマスタードのようなイメージ

 部品の取り付けにはパナソニック製の実装機を使うが、その速度は毎秒6個のペースというから驚かされる。パナソニックは実装機の分野で世界ナンバーワンのシェアを持つが、神戸工場ではそれを独自に改良して導入している。

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