パナソニックは13日、同社の神戸工場内で、レッツノートユーザーを集めたイベントを開催した。近畿地方を中心に全国から12名が集まった。
パナソニックの神戸工場は、神戸市西区・西神工業団地の一角を占める。市の中心部からは地下鉄で約35分。大阪府守口市にある商品企画/設計のチームとは、高速道路で1時間程度の距離だ。
工場長の清水 実氏は「すぐに駆けつけられるというほど近くないが、翌日に対応する程度の時間があれば直接行っても問題のない距離。ほどよい自立を保ちながら、十分な連携が取れる地理関係だ」とする。開設は1990年6月で、パソコンの生産は同年8月から開始。20年以上の歴史を持つ。
レッツノートができ上がる様子を間近で見た
レッツノートシリーズの特徴のひとつに、自社一貫のモノづくりがある。
神戸工場では、レッツノート/タフブックシリーズの生産を基板の製造から本体の組み立てまで、ほぼすべてを完結できる(関連記事)。品質管理部門に加えて、修理サポートも同じ工場内で提供する。
国内にノートPCの生産工場を置くメーカーは、パナソニック以外にもあるが、最終的な組み立てだけを実施している場合が多い。生産したレッツノートを、同社は「Made in 神戸」のキャッチフレーズでアピールしている。その言葉の通り、きめ細かなカスタマイズやリフレッシュメニューなど、自社一環のモノづくりだからこそできる取り組みを用意している。
「商品開発の思想をすべて実現する」と清水氏は話す。細かな仕様の異なる、多品種少量の生産にも柔軟に対応できる点が売りだ。神戸工場で生産されるノートパソコンは実に一月あたり600種類にも及ぶという。
組み立てと検査に関する工程はすべてワンフロアーに収めている。「トラブルがすぐ分かり、すぐに駆け付けられる」ようにするためだ。製品の品質を左右する検査方法に関しては、いくつもの特許技術が用いられており、ユーザーに支持されるレッツノートならではの信頼感を陰で支えている。
イベントの目玉のひとつは、レッツノートユーザーに対して、神戸工場の一部を公開し、レッツノートが生まれる場所を肌で体験できる機会を提供した点。参加者は、機器が発する電磁波を計測するための電波暗室や、堅牢性を検証するための落下試験の様子を、その目で確認できたほか、実際に稼動している生産ラインを巡りながら、レッツノートが組み立てられていくさまを間近で知ることができた。
レッツノートの中核機種である「CF-SX2」の基板には大小合わせて、約1500点もの部品が使われている。基板に実装される部品は、テープのようにロール状に巻かれた状態で納品されているが、各ロールにはバーコードが付与され、どの商品にどの部品を使い、いつ出荷したがトレースできる仕組みだ。
これらの部品は、すべて神戸工場内で主基板に実装されて組立工程に回される。部品は小さいものから順番に段階を追ってハンダ付けしていき、最終的に240度の炉で加熱して固める。
部品の取り付けにはパナソニック製の実装機を使うが、その速度は毎秒6個のペースというから驚かされる。パナソニックは実装機の分野で世界ナンバーワンのシェアを持つが、神戸工場ではそれを独自に改良して導入している。