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少量多品種の生産、ひと月に600種類を作ることも

神戸工場で、レッツノートが生まれる様子を見てきた

2013年02月15日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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少量でたくさんなら人、小品目で大量ならロボット

 できあがった基板は最終的に剣山のような検査治具にかけて問題がないか確認するが、ここは人の目をを通す方法とロボットを使う方法の2種類がある。

 検査の時間は人間のほうが早く、かつ異なる商品にも柔軟に対応できるが、ロボットは24時間休まず働き続けられるため大量の作業ができるという利点がある。神戸工場には生産技術部門が組み上げてプログラミングしたロボットが稼動しており、ロボット1台で3つの基板を平行して担当。メモリーをつまみ上げて基板に差し、手を付け替えて別の部品をピックアップし……という一連の作業を器用に淡々とこなしていた。

工場内に展示されていたレッツノートのカラー天板。サイン入りのものも

 基板検査に利用する治具は、すでに生産が完了している機種でも捨てずに保存されている。これは故障して返ってきた製品を修理するために必要だからだ。

組み立て工程は、人海戦術で取り組む

 機械化が進んでいる基板の製造工程に対して、組み立て作業は基本的に人が実際に携わる。1人が1製品を組み上げるセル生産の方式を取っており、広い工場内でたくさんの人々が働いていた。設計の制限を避けるために、ここは人海戦術で取り組んでいる。多品種を取り扱い、製造する製品が頻繁に切り替わるケースでは人が作業したほうが効率的だという。

セル生産の様子

 ハードウェアにおいて最も不良が出やすいハードディスクとメモリーモジュールは、全数検査の上、出荷している。ハードディスクに関しては、全周を検査するのと同じ効果が得られるテストを独自に開発。メモリーに関しては、RST認証テストに沿った検査方法を実施しており、神戸工場は認定工場のひとつになっている。

 また液晶パネルの輝点・白点を見つけるために画像認識システムを利用するなど、製品の品質を高めるための試みには余念がない。

 製造ラインを歩いていると、海外出荷用の部品を取り付けるために電波シールドの中で作業をしている工員や、液晶にタッチパネルの貼り付け作業でホコリが付着しないように、周囲に透明なビニールのカーテンを降ろし、簡易的なクリーンルームを作っている光景も目にした。

平均点数は約88.4点、レッツノートの相棒度

 工場見学に続いて、東京地区で開催されたもの(関連記事)と同様に、ユーザーの自己採点で、自分のレッツノートに対する満足度(相棒度)を示したり、レッツノートシリーズを使っていく上での便利さや、今後改善を期待したい部分などについて活発な意見が交換された。

12人が思い思いにレッツノートについて語った

ユーザー代表として招かれた山田祥平氏

 ゲストには、ユーザー代表としてライターの山田祥平氏が招かれ、工場を見学した上で改めて気づいた事柄やレッツノートやパソコンに対する愛情の話を語った。その後はナビゲーター的な役割で、参加者から様々なコメントを引き出した。

100点満点を出した参加者。修理対応の良さから加点する人なども。ほかにWindows 8に自分が慣れたら120点というAX2ユーザーの声も

写真に最適なレッツノートを期待し、美しいディスプレーの搭載を望む声が出た

交換式のSSDベイなど拡張性が増せばさらにいいのではという意見

小さくてタフだが、女性が持ち運ぶならできれば500g以下にしてほしいという声

 参加したユーザーが示したレッツノートの相棒度は平均で約88.4点。参加者の愛情が現れた結果だが、「ホメすぎだろう」という言葉も漏れた。

イベント終了後、取材に応じてくれたレッツノート商品企画担当の井上剛志氏(左)、設計担当の星野央行氏(右)

 イベント終了後に取材したレッツノート商品企画担当の井上剛志氏、設計担当の星野央行氏も「暖かい声に励まされた」と話した。

 例えばイベント中に、ユーザーの一人が発した「テレビでパソコンが使われているシーンが流れた際、キーボードの音を聞いただけでレッツノートと分かる」という発言。これは心に響いたようだ。井上氏は「確かに打鍵音には特徴的なところがある」と冗談交じりにコメントしつつも、ユーザーの愛情の深さに対して驚きと感謝の気持ちを示していた。

 また星野氏は、具体的に「これ」と明言することは避けたが、ユーザーから出た意見の中で、レッツノートの今後の設計に生かすための2~3のヒントが得られたとした。ユーザーが開発者にぶつけた生の声が今後のレッツノート開発に影響を与える可能性も大いにありそうだ。

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