2012年5月に移転したばかりのシスコシステムズ(以下、シスコ)の大阪オフィスを見学することができた。シスコが提唱するワークスタイルの変革を実践すべく、コラボレーションを重視した最新オフィスをレポートしていきたい。
アクセスは最強!ショールームとしての取り組みも
シスコでは東京2カ所のほか、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡などに事業所を持っている。大阪オフィスは関西地区での営業の要となるオフィスだが、営業所だけではなく、ショールームとしての役割を持っている。
6月にオープンした新オフィスは約1年前にできたばかりの新築ビルに設置されており、24階はシスコ専用のフロアとなる。新オフィスの売りの1つは、やはり大阪・梅田駅前という立地であろう。従来オフィスがあった新大阪は新幹線の乗り降りは楽だが、市内からはやや離れていた。これに対して、今回の新オフィスはJR大阪駅から徒歩5分で着き、阪急、阪神、市営地下鉄などの駅から至近。地下街から直接ビルに入ることもできる、まさに一等地といえる。
新オフィスでは、単に新しいビルの採用だけではなく、さまざまな施策を導入している。たとえば、エントランスで導入されている「バーチャルコンシェルジュ」は、大阪オフィスのシスコのビデオ会議端末「Cisco TelePresence System EX90」からネットワーク経由で東京オフィスの受付担当者を呼び出すというソリューションだ。これは東京本社にもない、大阪オフィスならではのオリジナル。ビデオ会議というと、対面式のミーティングという感じだが、こういう使い方もあるのかと関心するところしきり。郊外の店舗やホテルなどでの利用が想定されている。
前述したように新オフィスはショールームを兼ねており、顧客向けのエリアでは、シスコのビデオ会議システムが用意されている。製品の種類は異なるものの、東京本社オフィスと同じビジュアルコミュニケーション製品を、大阪オフィスでも体験できる。テレプレゼンスはもちろん、音声やビデオ、Web会議、メッセージングなどを統合したコラボレーションやUC(Unified Communications)のアプリケーション、WebブラウザベースのWebEXなどをさまざまな端末で試すことが可能だ。特にiPadとCisco Jabberによるモバイルでのコラボレーション、デスクトップ仮想化を提供する同社のVXI端末などは、モバイル&クラウドというワークスタイルを実践したモノといえる。
HDクオリティのビデオ会議は、臨場感(イマーシブ)が従来に比べて格段に高く、本来のミーティングに没入できる。百聞は一見にしかずということで、ぜひ体験してみたい。
フリーアドレス制の全面導入や
最新の調光システムも
執務エリアは社員にとって快適なワークスペースとして設計されており、共同作業のしやすいオープンレイアウトが導入されている。社員の自由な働き方を支援するフリーアドレス制を役員まで含めて全社員に適用し、社員はオフィス内の空いている席に座り、スペースが空いていれば逐一ミーティングが行なえる。オフィス内で安心して通話できる「Quiet Room」という部屋が用意されているところなどは、営業向けならではといえる。
執務エリアのワークスペースでは、シスコならではの照明調光システムが用意されている。シスコのUPOE(Universal Power over Ethernet)技術により、調光機能付きのLED照明に対し、Ethernetで給電しているのだ。Webブラウザから調光でき、PCやスマートフォンのほか、タッチパネルディスプレイ付きのIP電話機からも操作が行なえる。新しいビルだからこそできたBEMS(Building and Energy Management System)の取り組みだが、実際のオフィスで見られるのは非常に珍しい。
ここまで見てきたとおり、バーチャルコンシェルジュしかり、UPOEによる調光システムしかり、新しい大阪オフィスでは東京本社と異なる独自の取り組みが盛り込まれている。大阪のまさにど真ん中に、こうした先進的なオフィスを配置することで、関西でも東京と同じユーザーエクスペリエンスを実現できるようにしているわけだ。製品や技術のみならず、BYODやビジュアルコミュニケーションを取り入れた新しいワークスタイルまでもユーザーに提供したいと目論むシスコにとって、この新しい大阪オフィスは重要な位置づけを占めている。