エアバスA380で行く微笑みの国タイで、オタク事情を探る！ 第3回

レイヤーの意識が日本とは違うタイのコスプレ事情

日本のアニメは夢物語のよう
タイのコスプレイヤーが感じる日本文化とは？

　「COSMODE THAILAND」編集長のインタビューに続いて、タイのコスプレイヤーにコスプレの現状をインタビューした。
今回インタビューに応じてくれたのは、「COSMODE THAILAND」の表紙などで活躍する男装系コスプレイヤーのなるたんさん。彼女が日本のアニメや漫画と触れ合ったきっかけや、日本にいだく印象などを聞いてみた。

社会人として働きながら男装系コスプレイヤーとしても活躍するなるたんさん

━━まず、日本のアニメやコミックを好きになったのはいつですか？

【なるたん】　中学生の時に「ドラえもん」を見て、日本のアニメやコミックを知りました。オタク系の作品で好きになったのは、友達に「面白いから一緒に読もう」と誘われた「NARUTO」です。

━━日本ではオタクやコスプレイヤーは、まだネガティブなイメージがあるのですが、タイでの一般人からの印象はいかがでしょうか？

【なるたん】　日本ではマイナスな印象があるのですね。タイではそういったイメージはなく、趣味の1つとして認められています。

━━現在タイのオタクやコスプレイヤーの間で流行っているアニメやコミックはなんですか？

【なるたん】　なにかな～？　難しい質問です。アニメだと「K」は人気あります。インターネットを通じて、情報が入ってきているので、日本で流行っているものと大きな違いはないと思います。

━━日本では初音ミクなどの「VOCALOID」シリーズにも人気がありますが、タイでの人気はどうでしょう？

【なるたん】　「VOCALOID」も人気があります。ニコニコ動画は、日本語がわからないとIDが取れないので見ている人が少ないですが、ニコニコ動画からYouTubeへ転載された動画を見ている人が多くいます。

━━日本のマンガやグッズは、タイでは決して安くないはずですが、オタクの趣味を続けるのは大変ですか？

【なるたん】　高いので大変です。私は日本に友人がいるので、欲しいものがある場合には、その友人にお願いして送ってもらってます。そのほうがタイで購入するよりも安いので。

━━タイのオリジナル作品やアメリカの作品と比べて、日本の作品の魅力はどんなところにありますか？

【なるたん】　アメリカの作品はリアルすぎてファンタジー性が少なく、ハリウッド映画を見ているように感じますが、日本の作品はストーリーやキャラクターの心理描写が非常に細かく描かれていて、夢物語のようで楽しいです。

━━コスプレをするようになったきっかけを教えて下さい。

【なるたん】　日本のアニメが好きになった時から登場するキャラクターになりたいと思っていました。そして、コスプレという行為を知って、コスプレをやりたいと思い始めました。

━━日本のコスプレイベントに参加されたことがあるそうですが、タイのコスプレイベントと違いを感じましたか？

【なるたん】　日本のコスプレイヤーさん同士があまり仲良くないように見えました。コスプレイヤーさんが各人でバラバラに撮られていることが多く、カメラマン＆コスプレイヤーといった印象を受けました。タイでは、同じ作品のコスプレをしていたら、知らない人でも話しかけて、作品の話で盛り上がったり、集合して撮影するのが一般的なので、不思議な光景に見えました。

━━なるほど、確かにそういった面はあるかもしれませんね。最後にこれから日本に来てやってみたいことがあれば教えて下さい。

【なるたん】　日本で参加したのは東京ゲームショウと小さな同人即売会だったので、コミケに参加してみたいです。タイで一番大きなコミックシーズンというイベントでも参加するサークル数は1000くらいしかないので、大きな同人即売会に参加して、たくさんの同人誌を見てみたいです。

━━ありがとうございました。

タイでは日本のオタク文化が
受け入れられている

　在タイ邦人が6万人以上とも言われる東南アジア最大の日本人コミュニティーがタイには存在するだけあって、日本のオタク文化がタイの人たちに受け入れられているように感じた。
　一方、デジタルガジェット周りでは、以前は日本のメーカーのものが多かったが、現在は韓国や台湾、中国メーカーのものが多いという話をいたるところで耳にした。そしてそれを目の当たりにしてきた。
　オタク文化とデジタル家電。この両者の歩み寄りが、今後タイでの鍵を握るのではなかろうか。全3回にわたる今回の取材でそう感じたのだが、皆さんの目にはどう映っただろうか……。　

　最後に、コスプレイベントで撮影したタイのコスプレイヤーさんの写真を次ページで一挙に公開する。そのレベルの高さは決して日本に劣るものではないので、刮目してご覧いただきたい。