Atom対抗色を強める
KabiniとTemash
省電力向け製品としては順調なBrazos/Hondoの後継が、KabiniとTemashだ。こちらはBobcatの後継であるJaguarコアと、GCNベースのGPUを組み合わせた製品になると見込まれている。
KabiniはJaguarコアのクワッドコア構成で、これにGCNベースのGPUを組み合わせて、A4およびA6として投入される。このことから察するに、KaveriはA12~A8のラインナップで展開されることになるであろう。
ここで疑問になるのが、Richlandベースの「A6-6400K」と「A4-6300」が本当にリリースされるかどうかだ。技術的には難しくないのだが、もし3月くらいにRichlandベースのA6/A4が投入され、ついで6月あたりにKaveriでやはりA6/A4が投入されるというのは、正直考えにくい。もっともデスクトップとモバイルで製品を変える可能性は当然あるわけで、デスクトップ向けのA6/A4はRichland、モバイル向けのA6/A4はKabiniという分け方は当然ありえる。このような理由から、AMD AシリーズのロードマップではRichlandベースのA6/A4を破線扱いにしている。
Kabiniの下位にあたり、タブレット向けを狙ったのがTemashである。こちらの市場向けにもクワッドコアを投入することが明らかにされており、これでインテルのClover Trailや、さらに2013年末に投入予定のBay Trailと対抗しよう、ということであろう。
KabiniとTemashには「A6-5200」と「A6-1450」という製品がある。どちらもクワッドコア構成で、「A6-1450」のCPUコアは1GHz駆動ということが講演で明らかにされているが、それ以外のラインナップは現状まだはっきりしていない。これはもう少し製品出荷時期が近づくまで明確にはならなそうだ。
情報のないAMD FX
最後はCPUの話だ。APUに関しては色々と示された一方、ほとんど黙殺されたに近いのがAMD FXである。講演で唯一話題があったのは「FX-8350」が液冷で8.794GHz動作を達成したという話“だけ”というのは、実績を考えればやむをえないことだろう。
これに続いてSteamrollerコアが出てくる予定は、2013年中にはかなり厳しいというのが正直なところのようだ。先程Kaveriの話をしたが、Steamrollerのコアそのものの論理設計はかなり早い時期に終了している。ところがこれを製造するためには生産工場の過程にあわせた物理設計が必要になる。この物理設計が最近では年単位でかかるという話はこれまでも何度かしているので記憶している方も多いだろう。
SteamrollerベースのAMD FXやOpteronは、当初GLOBALFOUNDRIESの28nmプロセスを前提に物理設計に入ったが、どうも2012年中にこの方針が中止、改めてTSMCの28nmプロセス向けに物理設計をやり直しているようで、物理設計の終了が早くても2013年末になりそうという声まで聞こえてきている。
最近の過程の場合、物理設計の終了から物理設計にあわせて最初にチップを製造するまでに3ヵ月程度かかる。そのため、チップが一発で動き、手直しもまったく不要という夢のようなケースでもサンプル出荷が始まるのは2014年の第1四半期末。実際にはそこから検証が始まり、ここで問題があれば手直しが入るので、2014年の前半に出荷できるかどうか、極めて微妙といった話すら出ている。
もっともこれだとAMD FXやOpteronの市場がなくなりかねないので、もう少し物理設計の終了を前倒しにすると思いたいのだが、いずれにせよ今年中の出荷開始は極めて厳しいだろうと言わざるを得ない。それがゆえにロードマップでもあえてAMD FXには一切触れていないのだろう。
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