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Facebookで1000万いいね!「Otaku」が世界で成功したわけ

2013年02月20日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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 美少女が描かれたネイルアート、1万。おなじくラテアート、2万3千。いずれもFacebookの写真につけられた「いいね!」の数だ。「いいね!」をつけているのはアメリカ、ヨーロッパ、アジア――海外の若者たち。

 写真が投稿されているのは「Tokyo Otaku Mode」(TOM)。1000万人が「いいね!」をつけるFacebookページだ。世界のサブカルチャー好きに向け、オタク系の情報を発信している。2011年3月に開始し、わずか5ヵ月で100万「いいね!」を獲得。日本人が運営するページとしては最大規模に成長した。

 ページを更新しているのは同名のベンチャー企業。昨年4月に日本人6名で創業した。ヤフーの投資子会社YJキャピタル、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、デジタルガレージの3社から資金を調達し、盤石な資本で経営にのぞむ。


あの手この手でつかんだ1000万

 代表・亀井智英さんは、1977年生まれの35歳。宣伝マンとして電通に勤めながら、友人たち3人を誘い、2年前にTOMを立ちあげ。初めはイベントを取材したり、新商品の発売を追いかけたりと、ニュース記事を書きつづけた。

 しかし、当初の2ヵ月は伸び悩んだ。迷いながらも記事を出しているうち、「ぼくたちがウケると思っていた記事とは違うところに『いいね!』が付きはじめたんですよ」と言う。

 「最初にそれに気づいたのが、コスプレ写真だったんです」

 英語圏ではハロウィンなどでコスプレになじみがある。いまフィリピンや台湾では、毎週末にイベントが開かれるほどのコスプレブームだ。日本のコスプレイヤーはクオリティーが高い。写真を投稿するとすぐに山ほどの「いいね!」が付き、タイムラインに広がった。

 そうして文字中心のニュースから、ユーザーが共有したいと思うようなクオリティーの高い画像を中心にした投稿に切り替えたことが、ファンを増やすきっかけになった。

 「そこからは『僕たちが届けたいもの』ではなく、『ユーザーが欲しいと思うもの』を集めるようになりました」

 ユーザーたちに喜んでもらえることならと、その後も次々と策を打ちつづけた。

 漫画のファンが運営する、100万超の「いいね!」を持つFacebookページに書きこんだり、「劇場版アニメの公開を勝手に喜ぶ会」というファンイベントを開いたり。「あなたの名前を漢字に変換するとこうなります」というジェネレーターを開発したこともあった。

 「そういう施策をやっていくうちに増えていった感じですね」

 ファンが増えるに連れて、通常の取材記事やニュースにも「いいね!」が付きはじめた。記事の見出しや内容で読者を集めていく、通常の雑誌や新聞などとは逆の方法で、彼らはメディアを成長させていったのだ。

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