One Sonyに向けて
もうひとつはサイバーショットのRX1である。「カメラ業界では、ソニーはそこまでやるのか、と言われた製品。
イメージセンサーやレンズを自分でつくり、カメラも自分でつくるソニーが、摺りあわせの技術によって実現したもの。RX1はほとんど手作りであり、夢を追い、こだわって作った製品。25万円という価格で出すという企画が、最後までつぶされなかったというのもソニーらしい点である」と語る。
平井社長は、「ソニーは、One Sonyに向けて着実に変化している」と語る。
昨年4月の社長就任以来、人事とCFO、北米担当以外のトップはすべて担当替えを行い、「私と同じ夢を持つ人によるマネジメント体制に組み替えた」としながら、「ソニー全体にどうやって貢献するのか」という発想が定着しはじめたこと、「ソニーは危機的状況にある」という意識が出てきたこと、さらに「一体感」が出てきたことを強調する。
表面化するかが鍵
実は、今回のCESのプレスカンフアレンスでは、製品にフォーカスした内容としたことも変化の1つだという。
「エレクトロニクスのショーであるCESなのに、なぜ歌手が出ないといけないのか。ここでは、歌手がスターではなく、RX1や4Kが光ってもらわなくては困る」。エンターテインメント部門出身の平井社長らしからぬ発言ともいえるが、これもソニーの変化のひとつだと位置づける。
「ソニーが変わってきたということを社内に知ってもらうことも重要である。そして、ここにきて、外部の方々にも変わってきたことを少しずつ評価してもらえるのではないか」
しかし、平井社長はこうも語る。
「変わったということを認めてもらうには、成果としてどう出せるかである。これが、もっとも重要である」
経営体制、製品づくり、製品の見せ方では確かに変化があった。その成果がこれから表面化するかが鍵といえる。
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