年明け早々に新しいモバイルOSのニュースが舞い込んできた。Linuxディストリビューション「Ubuntu」で知られる英Canonicalが「Ubuntu for Phones」としてモバイルに拡大すると発表したのだ。年末にはNTTドコモ/Samsungの「Tizen」のうわさが大きく報じられており、2013年の幕開けは新しいモバイルOSの話題が席巻した形となった。AndroidとiOSの独占状態を揺るがすような第2次モバイルプラットフォーム競争元年となるのだろうか?
新参現る――Ubuntuがスマホに拡大
CanonicalはUbuntuの開発で知られる英国企業だ。南アフリカ出身で、民間人としては数少ない宇宙旅行経験者である富豪のMark Shuttleworth氏が創業した。Linuxデスクトップでは確固たるファンを持ち、2012年10月にリリースした最新版のダウンロード数は最初の24時間で730万回を数えた。ユーザーは2000万人と見積もっている。
今回のモバイル戦略は1月2日、Shuttleworth氏から2010年にCEOの座を譲り受けたJane Silber氏と、Ubuntuの戦略と開発全体を統括するShuttleworth氏が明らかにした。Apple、Google、Microsoftとは異なり、デスクトップ、モバイル、TVとさまざまな画面に向けて同じコアを土台とする点、これまでのモバイルにはない新しいユーザーインターフェイスなどを強調している。
同時公開したビデオではGALAXY Nexusを使ったデモを披露、アイコンのないシンプルなウェルカム画面から操作を開始してみせた。画面を最大活用し、上下左右と4方向のスワイプによりアプリや機能にアクセスする。たとえば左方向へのスワイプによりアプリのアイコンを表示、右方向へのスワイプでは起動中のアプリに戻ることができる。アプリはHTML5(ウェブアプリ)とネイティブの2つをサポート、この点はMozillaの「Firefox OS」などとは異なる。CanonicalはQtを使ってアプリケーションを構築できるネイティブアプリ向けのSDKを提供する。
気になるターゲットだが、エントリーに加え、先進ユーザー向けのハイエンドも狙う模様。ここもFirefox OSとの違いになる。Canonicalは現時点でOEMパートナーを発表していないが、2013年末に製品を投入したいとしている。
実はCanonicalのモバイル戦略は新しいものではなく、AndroidスマホからUbuntuデスクトップをローンチできる「Ubuntu for Android」で、2012年に「Mobile World Congress」にデビューしている。2011年に英国本社で行った取材で、マーケティング担当者はモバイル向けの戦略を練っているところだと明かしていた。今回のUbuntu for Phonesは2年がかりの開発とのことなので、計算が合う。
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