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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第69回

UbuntuにTizen、2013年は新しいモバイルOSのラッシュ?

2013年01月09日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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Samsung「Tizenスマホは年内に」

 12月30日付けの読売新聞の一面を飾ったのが、NTTドコモが進めているというTizenベースのスマートフォンの話だ。記事によると、Samsungなどと共同開発しているTizenベースのスマートフォンをNTTドコモは「2013年にも発売する方向で検討に入った」という。独自サービスの提供のしやすさなどがTizenを選ぶ理由としている。

 この後を追う形でBloombergは1月3日、Samsung幹部から電子メールベースで「新しく競争力のあるTizenベースの端末を今年リリースし、市場の状況を見ながらラインナップを拡充していく計画だ」という声明文を受け取ったことを報じた。なお、2012年11月に米サンフランシスコでのイベントで、Samsungの幹部は第3のプラットフォームとして「Windows Phone」の可能性について聞かれた際に、Tizenも挙げている。

 Tizenは、NokiaがMicrosoftと手を組んだことから打ち切りに追い込まれた「MeeGo」の後を次ぐ形で(モバイルに足がかりがほしい)IntelがSamsungらと2011年秋に開始したプロジェクトだ。TizenはMeeGo同様にLinux Foundationで運営されており、NTTドコモもVodafoneなどとともに参加している。

 Samsungにしてみれば、Androidスマホ「GALAXY」ラインの勢いがあるうちに、Google依存を減らしておこうということだろうか。

Firefox OS、Jollaも出てくるが……

 このほか今年登場が予想されているモバイルプラットフォームとして、オペレーターとOEMが確定しているMozillaのFirefox OSがある。Firefox OSはHTML5ベースのモバイルOSで、Mozillaはブラジルなど南米でローンチし、その後東欧などに拡大していく戦略だ。OEMでは、TCL CommunicationやZTEといった社名が明かされている。

 もう1つがJollaだ。2012年半ばに元NokiaのMeeGo開発者が立ち上げを発表したプロジェクトで、MeeGoを土台とする。最初の狙いを中国市場に定め、同国最大のモバイル小売店D.Phoneとの提携もとりつけた。秋には香港で支社も立ち上げている。端末のローンチ時期は明らかにしていないが、2013年に登場してもおかしくない。

 このように、さまざまなモバイルOS(それもオープンソース系)プロジェクトが相次いで登場しているが、果たして第3勢力となりうるのか? 開発者にとってはおそらく頭痛の種が増えることだろう。「一度書けば……」を約束するマルチプラットフォーム対応開発ツールが登場しているが、すべての開発者のニーズは満たせない。オペレーターにしてみても、スマートフォンブームを受けた後、NTTドコモのように土管化を回避したいところと、土管でもよいと考えるオペレーターとに分かれ始めており、プラットフォームに対する態度が異なる。

 「第3のエコシステムを目指す」とNokiaとMicrosoftが提携したのが2年前。巨人同士が手を組み巨額をつぎ込んでいるにも関わらず、現時点ではWindows Phoneは第3のプラットフォームとは言いがたい状態だ。第3のプラットフォームが今度こそ登場するのか、登場するとすれば、どこになるのだろうか?


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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