「AQUOS Phone ZETA」(SH-02E)や「AQUOS PAD」(SHT21)などに採用されている「IGZO」ディスプレー。シャープがこのIGZOについての説明会を開催した。特に新しいトピックがあるわけではないが、この際なのでおさらいしておこう。
IGZOはインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)で構成される酸化物半導体を使用した技術で、1985年に科学技術庁無機材質研究所の君塚昇博士らが提案、および結晶の合成に成功。
すでに今年の3月から量産を開始しているが、6月には「CAAC」(C-Axis Aligned Crystal)という新しい結晶体を採用した新IGZOを発表。年内に従来のIGZOの生産を新IGZOに切り替え、本格的に量産する予定だ。
IGZOのメリットは、「高精細」「高コントラスト」「低消費電力」「タッチ操作のしやすさ」といったものがあるが、その仕組みはどのようなものなのだろうか?
高精細・高コントラストの秘訣は「電気の流れやすさ」
IGZOの技術的特徴は、電子移動度(電気の流れやすさ)の高さと、一度描写した画面を保ち続けることで画面の更新がない場合に一時的に電流を止めることができる「アイドリングストップ」性能にある。
従来のアモルファスシリコンの20~50倍という電子移動度により、IGZOでは1画素ごとの薄膜トランジスタ(TFT)を小型化することが可能となった。
トランジスタを小型化した分、画素をより細かくできるとともに、バックライトの光を透過する面積が増える。このため、従来よりも高精細化、高コントラスト化がしやすい。
アイドリングストップにより
低消費電力と操作性向上を実現
アイドリングストップによるメリットは低消費電力。従来の液晶のように60Hz固定ではなく、1~60Hzの間で画面の更新があった場合のみ書き換えるということが可能なため、消費電力を低く抑えることができる。
なお、画面の一部分のみを書き換えるということも技術的には可能ということで、例えばPCで動画を再生する場合、動画プレーヤーのウインドウのみ書き換えて、そのほかの部分は書き換えず、消費電力を抑えるということも可能だ。
アイドリングストップは操作性においても有意義に働く。常に画面を書き換えている液晶の場合は駆動時にノイズが発生するため、特に静電容量方式のタッチセンサーでは微細なタッチ操作が検出しにくいというデメリットがあった。
しかしIGZOではアイドリングストップ時にはノイズが少なく、タッチの検出感度が向上。この結果、先の細いペンによる操作やつめの先、手袋を着用しながらの操作も可能になる。
来年のIGZOスマホ&タブレットはどうなる?
そんなIGZOにより、今後どのようなデバイスが登場するのか? すでに32V型の4K2Kディスプレーが2月に発売されることが決まっているが、スマートフォンは来年にはフルHD解像度の製品が登場する可能性が高いという。
そして、現在人気の高い7型タブレットだが、「WQHD(2560×1440ドット)の製品の登場も考えられる」(ディスプレイデバイス開発本部 技術開発センサー 技術企画室 今井 明氏)とのこと。大いに期待したいところだ。
