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丸い液晶! シャープ「フリーフォームディスプレイ」はどうして実現できたのか?

2014年07月07日 17時53分更新

文● ASCII.jp編集部

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「フリーフォームディスプレイ」を採用した車載向けインフォメーションディスプレー

「フリーフォームディスプレイ」を採用した車載向けインフォメーションディスプレー

 シャープは中小型ディスプレーの取り組みについての説明会を開催し、「フリーフォームディスプレイ」(FFD)などについての説明を行なった。

究極の狭額縁を目指した結果
フリーフォームに行きついた!

こちらはインパネ用ディスプレー

こちらはインパネ用ディスプレー

額縁が丸くなっている

額縁にあたる部分が丸くなっている

 FFDは同社が6月18日に発表したディスプレー技術で、従来の四角形ではなく自由な形の液晶ディスプレーを実現できるもの。現在車載向け(インパネおよびインフォメーションディスプレー)として開発を進めており、2017年頃に実用化する予定。このほかにもウェアラブル端末やスマートフォン、タブレット、マルチディスプレーなどへの展開を検討している。

シャープ 表示モード開発センター所長の伊藤康尚氏

シャープ 表示モード開発センター所長の伊藤康尚氏

 同社のディスプレイデバイス開発本部 表示モード開発センター 所長の伊藤康尚氏によれば、開発の発端となったのは2年前に“ディスプレーの価値”について、社内で議論したことだったという。

 将来的に画質面での技術競争は飽和するということを見越して、そのほかの価値を検討した結果、“デザイン性”という部分に注目。徹底的な狭額縁化を目指して開発を行なってきた。

従来、パネル周囲にあった駆動回路をガラス基板の上に搭載。究極の狭額縁化を実現

従来、パネル周囲にあった駆動回路をガラス基板の上に搭載。究極の狭額縁化を実現

 従来の液晶は画面の周囲(上下左右)に駆動回路を搭載していたが、FFDは画素内に駆動回路(ゲートドライバー)を分散配置。この結果、三辺(上と左右)を超狭額縁化することに成功。「フレームレス」ディスプレーとしてCEATECで技術参考展示していた。

額縁の形状を自由に設計できる

額縁の形状を自由に設計できる

 そして、このフレームレスディスプレーを応用したのがFFD。ゲート信号線を内側(画素内)から外側(額縁方向)に向けて駆動させることで、額縁の形状を自由に設計することを可能とした。また、穴の開いたディスプレーの製作やフレキシブルディスプレーとの組み合わせも可能とのことで、「ディスプレー搭載機器の形状を自由に設計でき、用途拡大を促せる」と、デザインの革新性を特徴に挙げた。

 なお、FFDにはIGZOパネルを採用する。アモルファスシリコンでも実現は可能だが、構造上開口率が低くなる。IGZOは薄膜トランジスタ(TFT)の小型化により開口率を高くでき、FFDの開口率の低さを相殺できるという。

次世代の「MEMS」ディスプレーも開発中!

7型のMEMSディスプレー。省電力性をアピール

7型のMEMSディスプレー。省電力性をアピール

 このほか、同社は「MEMS」(Micro Electro Mechanical Systems)と呼ばれるマイクロマシン技術を採用したディスプレーをPixtronixと共同開発中。

 画素ごとにシャッターを設け、その開閉でRGBの光量を調節。偏光フィルムなどを使わない仕組みにより、低温環境でも応答速度が落ちない点やNTSC比で120%という色純度、既存の液晶ディスプレーと比較して約半分という低消費電力などが特徴だ。

低温ポリシリコンの高精細化も進んでいる

低温ポリシリコンの高精細化も進んでいる

4.9型(1280×720ドット)の低温ポリシリコンディスプレーの接写画面

5.5型(2560×1440ドット)の低温ポリシリコンディスプレーの接写表示

狭額縁化したIGZOディスプレー

(次ページに続く、「中小型ディスプレー生産体制を構築」)

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