11月20日、デジタルアーツは電子メールのフィルタリングソフトの最新版「m-FILTER」Ver.3.5を発表した。新たに社外に送ってしまった添付ファイルをあとから削除できる「FinalCode」の簡易版を有償オプションとして提供する。
渡した後も操作できる究極のファイル共有
デジタルアーツはWebフィルタリングソフトの「i-FILTER」を中心に手がけるセキュリティベンダー。m-FILTERは電子メール用のフィルタリングソフトで、送受信制御を行なう「m-FILTER MailFilter」、全文保存と検索を可能にする「m-FILTER Archive」、スパムメール対策「m-FILTER Anti-Spam」の3つの機能を提供する。最新版のVer 3.5では、メールの送信後に添付ファイルがコントロールできる「FinalCode」の機能を有償オプションとして提供する。
発表会に登壇したデジタルアーツ 取締役 研究開発部 部長の高橋則行氏は、日本ネットワークセキュリティ協会の最新の調査を元に、情報漏えい事件のほぼ3割が誤操作、3割が管理ミスから起こっていると指摘。特に電子メールの誤送信は、全体の2/3が経験しており、携帯電話やノートPC、USBメモリの紛失に比べ、はるかに確率が高いことを明らかにした。さらに誤送信経験者の9割が誤った宛先への送信した経験があるという。
これに対して電子メールセキュリティの業界からは、送信自体の遅延、同僚だけ即時に送信する時間差ディレイ、送信前の確認、あるいはパスワードロックなど、いくつかの解決策が提示されてきたという。しかし、多くの対策は猶予内に気づかなければ回収不能で、開封パスワードもいっしょに漏えいしたら意味がないという弱点がある。さらに、いくら自身で誤送信防止を行なっても、いったんファイル自身が相手に送られてしまうとミスや誤操作を防げないという「間接漏えい」も大きな課題だという。これに対して、デジタルアーツが提供してきたのが、m-FILTERにファイル追跡・暗号化を行なうFinalCodeを組み合わせることで、送信後の添付ファイルの削除を実現したという。
FinalCodeは、専用クライアントとビューア、クラウドサービスを連携させることで、パスワード不要の暗号化ファイルを生成するソリューションで、2011年7月から展開している。ユーザーは対象のファイルと閲覧を許可する相手を指定し、適切な制限をかければ、暗号化ファイルが作成できる。
とはいえ、「FinalCodeの弱点は、暗号化処理が今まで個人に任されていたこと。お客様からは、メールを送るときに勝手にFinalCodeを使ってくれないのかと言われていた」(高橋氏)とのこと。そこで今回は、このFinalCodeの簡易版「FinalCode Express」を有償オプションとしてm-FILTERで利用することで、ポリシーに従って、メールを自動的に暗号化する機能を実装した。
具体的にはm-FILTER上でFinalCodeのルールを設定し、添付ファイル付きのメールを送信。これにより、ルールに従ってファイルが暗号化され、クラウド上のFinalCodeのサーバーに権限関連の情報が登録される。あとはファイルを添付したメールとともに、ビューアのインストールを促す案内メールが相手に送信され、ファイルの閲覧が可能になる。
ユーザーは専用クライアントやビューアーをインストールすることで、端末識別用の電子証明書が導入され、クラウド側で認証を行なうことで、ポリシーに従ってアクセスを制御する。許可された相手はパスワードを入力せずに、ファイルを閲覧できる。閲覧回数や日数制限をかけられるほか、アクセスログの収集、画面キャプチャ、コピー&ペーストも制御できる。外部にファイルが持ち出されても、漏えいや改ざんの心配がないという。
その他、m-FILTER ArhiveではMicrosoft Exchange Serverのジャーナル対応が行なわれたほか、m-FILTER Anti-Spamではスパムメールの検知精度を大幅に向上させたという。発売開始は11月21日で、価格は30ライセンスで73万4250円(別途保守費用)、FinalCode Expressの年間利用料が30ライセンスで17万3000円となっている。