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業界人の《ことば》から 第13回

パナソニック・津賀一宏社長

普通の会社ではないと、自覚することが必要だ

2012年11月06日 09時00分更新

文● 大河原克行

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売上成長の指標は置かない「危機脱出モード」

 2015年度を最終年度とするこの3ヵ年の中期経営計画は、当初は、創業100周年を迎える2018年度に向けた加速の1年と見られていたが、それが一転。津賀社長は、「この危機的状況から一刻も早く脱却することが必要。2015年度には、お客様価値を生む集合体に生まれ変わり、普通の会社に戻りたいと考えている」と語る。

 2015年度までの中期経営計画では、売上成長の指標は置かずに、毎年度、フリーキャッシュフローとして2000億円を創出すること、営業利益率5%以上を最低基準として、すべてのBUを見直していくことを掲げた。

 これを「危機脱出モード」と表現する。

 利益重視の経営体制への転換であり、その点では過去との決別という言い方ができるだろう。

 津賀社長は、こんな言い方もする。

 「パナソニックは、これまで『売り』によって、成長を目指してきた会社だった。『売り』が成長すれば、収益が作れるという価値観でビジネスをやってきた。しかし、デジタルコンシューマーのようなコモディティーの領域においては、『売り』が伸びても収益は伸びない。むしろ『売り』を追うと、収益が悪化する。我々の価値観を大きく変えなくてはならない」

 また、テレビ事業についても次のように言及する。

 「過去には、テレビは『顔』だった。しかし、お客様からは、いまもテレビが『顔』に見えるのだろうか。テレビが買いたいものの一番ではない地域も多いだろう。日本においては、テレビだけでなく、照明やエアコンを提供する生活空間において、よりよい暮らしを提案するには、全体をどうデザインするのかといった点から取り組んでいくことになる」

 テレビ・パネル事業では、非テレビ用途への展開を事業回復の柱としており、パナソニックにおけるテレビの位置づけは大きく変わることになる。

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