今回のことば
「デジタルコンシューマーのようなコモディティの領域においては、『売り』が伸びても収益は伸びない。むしろ『売り』を追うと、収益が悪化する。我々の価値観を大きく変えなくてはならない」
(パナソニック・津賀一宏社長)
不振にあえぐパナソニック
パナソニックは、2012年度の通期連結業績見通しにおいて、最終赤字が7650億円になることを発表した。前年度には7721億円の最終赤字を計上。2年連続での大幅な赤字となる。
期初予想では、黒字転換を計画していただけに、これだけの大幅な赤字見通しは、まさに激震となった。
大幅な赤字については、「デジタルコンシューマー商品の市況悪化や新興国の景気減速の影響で売り上げが減少したほか、のれん、無形資産の減損や繰延税金資産の取り崩しなどによって、多額の純損失を計上したことによるもの」(河井英明常務取締役)とするが、津賀社長は、あくまでも「今回の大幅な業績の下振れの要因は本業の不振にある」と断言し、ベールには隠さない。
とくに、薄型テレビやデジタルカメラ、BDレコーダーなどに代表されるデジタルコンシューマー関連商品の不振を理由にあげる。
「デジタルコンシューマー商品は、売上高全体の1/4に過ぎないが、年間下振れ額のうち8割を占めている」とし、「デジタルカメラや携帯電話などの分野においては、当社の競争力、とりわけ価格競争力が低下していることが原因。この領域では負け組である」と切って捨てる。
さらに、「パナソニックには構造的な課題がある」と断言し、「20年前から低成長、低収益という状態が続いている。研究開発投資をしても大きな成果を生めずに、営業利益が低下し、構造改革を行なっても一時的な良化に留まり、再び利益が低下するというサイクルに陥っている。また、デジタル化に向けて大規模な投資を行っても、投資判断や環境変化への対応に課題があり、思ったほどのリターンが生めない。これは普通の会社ではない状態にある。そうしたところを、しっかりと自覚しなくてはならない」と語った。
パナソニックは、2013年度から新たな中期経営計画をスタートさせる。
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