業界人の《ことば》から 第11回
米セールスフォース・ドットコム マーク・ベニオフ会長兼CEO:
CIOよりも、CMOが使う額のほうが多くなる時代がやってくる
2012年10月16日 09時00分更新
ソーシャルメディアを使ったマーケティングへの変化
これまでの顧客サービスは1対1であったり、時間が限定されたりといったことが前提だった。また、マーケティング施策もマスを対象に一方向からの発信でしかなかった。しかし、ソーシャルメディアを活用した顧客サービスやマーケティング手法は、消費者とダイレクトにつながり、しかも双方向でのアプローチができる。マスを対象にしながら、それでいて、個別顧客にあわせた提案も可能となる。サービスを提供する側も、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末を活用しながら、24時間365日体制で、迅速に対応するといったことも可能だ。
こうした新たなサービス手法、マーケティング手法は、従来型の情報システムでは立ち行かなくなってくるのは明らかだ。ソーシャルメディアによるトラフィックの大幅な増減に対応するには、クラウド型のシステム構築が前提となること、さらに、マーケティング活動の立案にあわせた短期間でのシステム稼働も求められる。 このように、情報システム部門によるシステム構築より、マーケティング現場やサービス現場主導のシステム構築が進むと、IT予算の配分も大きく変化してくることになる。これがCMO中心のIT予算消費につながってくるのだ。
「企業の成長のために必要なのは、ERPなどのバックオフィスのシステムへの投資の拡大ではなく、顧客接点型のシステムに投資することである。これからはCMOがITを知ることが最も重要なことになる」と、ベニオフ会長兼CEOは語る。
CMOやマーケティング部門の責任者や担当者の参加比率が4倍に
実は、今年のDreamforce 2012の参加者にも変化がみられていた。
同イベントは、全世界65カ国から9万人以上が事前に登録。「ベンダーが主催するエンタープライズテクノロジーイベントとしては、過去に例をみない最大規模のもの」(米セールスフォース・ドットコムのベニオフ会長兼CEO)とするが、そのうち、「CxO(最高責任者レベル)」の経営層の登録は、前年比倍増となる3000人近く。
そして、CMOやマーケティング部門の責任者や担当者の参加比率が、全体の20%程度を占めていたのだという。例年は5%前後だったことに比較すると、大きな変化だ。
IT投資予算の主導権を握る人はだれなのか。それは、大きく変化しようとしているのかもしれない。
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